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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年12月号

東京都立葛飾ろう学校の特別支援教育体制について

篠崎友誉

はじめに

ここ数年、教育改革・学校改革など、教育界はさまざまな動きがあります。たとえば、教育基本法の大きな法的な改正や、また義務教育の質の向上に向けた方策が検討されています。われわれの聾教育においてもこの間、特別支援教育という大きな道筋の中でろう学校の新たな役割が問われています。その新たな役割として、聴覚障害者のための教育の充実やセンター的機能があります。このことに向かって、多くのろう学校は校内組織の改編や地域との連携を積極的に図り取り組んでいます。

本校の特色

本校は、乳幼児教育相談、補聴相談、通級指導、幼稚部、小学部、中学部、高等部(普通科・専攻科)を有する、新世紀のニーズに応える総合的なろう学校です。

特色としては、1.聴覚活用指導の充実と多様なコミュニケーション能力の伸長、2.特別支援教育体制の確立と各種教育相談・通級指導等の充実、3.幼児教育の充実と社会の変化への対応、4.基礎学力の向上と応用力の伸長、5.心豊かな幼児・児童・生徒の育成の為の環境つくり、6.個別の教育支援計画の策定とろう学校の役割の明確化・関連機関との連携、7.職業の専門教育の充実(各種検定合格者の増)、8.基礎体力の向上と健康の保持・増進、9.校舎のフル活用と確実な維持・管理です。

また、特別支援教育のセンター的機能を十分果たせる学校として施設設備の充実や校内体制の確立をめざしています。

本校の特別支援教育

1 乳幼児・就学前教育相談

0歳から2歳児を対象にした指導では、お子さんと保護者の方に、次のような内容で指導や相談を行っています。

○きこえに障害があるお子さんとのよい関わり方についての相談

○聴力検査や補聴器の選定、装用及びフィッティング(調整)等、補聴に関する相談

○個々のお子さんに応じたことばの獲得についての相談

○保護者教室、手話教室等での育児や聴覚障害に関わる情報提供

○個々のお子さんに応じた言語指導

○聴覚活用に関する相談

○お子さんの適正就学に関わる相談在籍している保育園、幼稚園に訪問し、情報交換を行う等、在籍校との連携も行っています。

2 補聴相談

他機関に在籍する幼児・小学生・中学生・高校生やその保護者の方を対象に、次のサービスを行っています。また、きこえの障害とともに、他の障害を併せ有するお子さんの相談にも応じています。

○聴力測定

○補聴器の選定やフィッティング(調整)

○きこえやことばに関する相談

3 通級指導

都内各地域の学校に在籍している小学生、中学生、高校生を対象に、通級指導を行っています。在籍校に在籍のまま本校に週1~2回通っていただき、次のような内容を中心に、一人一人の実態とニーズに応じた指導や相談を行います。

○聴覚活用指導

○発音指導・言語指導・手話指導

○各教科の補充指導

○カウンセリング(心のケア)

○本校への通級が遠距離のため困難な場合は、在籍校訪問をして指導することも可能です。また、学年の途中でも指導を開始することができます。

4 一般教育相談 就学・転入学相談

本校への就学や転入学に関するご相談は随時受け付けております。また学校見学や相談等も行っています。

(しのざきともよし 東京都立葛飾ろう学校副校長)