「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年4月号
障害者の所得の確保に係る施策の検討について
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課
障害者の所得の確保に係る施策の検討については、障害者自立支援法附則第3条第3項において、「政府は、障害者等の福祉に関する施策の実施の状況、障害者等の経済的な状況等を踏まえ、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされている。また、参議院の附帯決議においても、障害者の所得の確保について、検討を行うこととされている。
厚生労働省では、障害者自立支援推進本部(平成17年12月6日設置。本部長:厚生労働事務次官)を設置(資料)し、障害者施策に関し、制度横断的な調整を行っているところであるが、法附則などを踏まえ、平成19年1月17日に同本部の幹事会の下に「障害者の所得の確保に係る施策の検討チーム」(チーム長:障害保健福祉部長)を設置して、検討を進めることとした。
障害者の所得の確保に関する施策については、まずは就労支援を強化することが重要であり、すでに、就労移行支援事業の創設や「工賃倍増計画」などにより、これを積極的に進めることとしているところであるが、今後、設置したチームにおいて関係部局が集まってさらなる就労支援施策の検討を行うとともに、その他の関連のある制度についても、課題などの検討を進める。
具体的な検討項目として、
○就労支援の推進策の検討
- 現在の工賃状況の把握
- 工賃引き上げの好事例の収集・分析
- 一般就労の状況
- 福祉と雇用、教育と雇用、訓練などの連携ができているなどの好事例の収集・分析
○就労支援施策の一層の充実に向けた支援の在り方の検討
○その他の諸制度の研究
○海外の制度の調査
○その他課題の整理
などの検討を進める。
検討に当たっては、テーマに応じ、チーム長である障害保健福祉部長が指名して行うこととする(なお、サブを障害保健福祉部企画課長および高齢・障害者雇用対策部企画課長とする)。
今後、障害者自立支援法のいわゆる「3年後の見直し」に向けて、この問題も含めて検討を進めていくこととなる。
資料 障害者自立支援推進本部の設置について
1.設置
障害者自立支援法及び障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律を踏まえ、障害者の自立の総合的な推進を図る観点から、福祉施策、雇用施策、医療施策、就労支援を含む所得保障施策等の制度横断的な関連施策の調整を行うため、厚生労働省に障害者自立支援推進本部(以下「推進本部」という)を設置する。
2.推進本部の構成員
推進本部の構成員は、次のとおりとする。
- 本部長
- 厚生労働事務次官
- 本部長代理
- 厚生労働審議官
- 副本部長
- 職業安定局長、社会・援護局長
- 本部員
- 大臣官房長、総括審議官、医政局長、健康局長、労働基準局長、職業能力開発局長、雇用均等・児童家庭局長、老健局長、保険局長、年金局長、政策統括官(社会保障担当)、政策統括官(労働担当)、政策評価審議官、労災補償部長、高齢・障害者雇用対策部長、障害保健福祉部長、高齢・障害者雇用対策部企画課長、障害保健福祉部企画課長、国立精神・神経センター総長、国立身体障害者リハビリテーションセンター総長、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長代理、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長(必要に応じて本部長が指名する者(関係課長)が参加)
3.幹事会
推進本部内に、障害者福祉施策と障害者雇用との連携に関する課題等を検討するために、幹事会を置く。
〈幹事会メンバー〉
障害保健福祉部長(幹事長)、高齢・障害者雇用対策部長、高齢・障害者雇用対策部企画課長、障害保健福祉部企画課長(必要に応じて幹事長が指名する者が参加)
4.事務局
- 事務局長
- 障害保健福祉部企画課
- 事務局次長
- 高齢・障害者雇用対策部企画課長
- 事務局員
- その他事務局長の指名する者
事務局の庶務は、高齢・障害者雇用対策部企画課の協力を得て、障害保健福祉部企画課において行う。
5.検討事項
- 障害福祉サービスと障害者雇用施策の連携の推進
- 地域移行を推進するための障害者の居住環境の整備、医療計画との連携等
- 就労支援を含む障害者の所得保障の確保に係る施策の在り方
- 障害者の権利擁護に向けた取組み(成年後見制度利用事業等)
- 障害者の定義・範囲の再検討(発達障害や難病との関係、労災との整合性、介護保険との関係等)
- 障害者、障害児の医療、職業訓練、研究等の一体的な取組みの強化
- 市町村や事業者に対する広報体制の充実・強化に向けた検討