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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年4月号

1000字提言

チャレンジを育てよう

津島徹

「神奈川養護学校就労促進の会」という、養護学校の進路指導担当教員の有志による自主研究グループがあります。よりよい進路指導を目指して、それぞれの学校での取り組みについて協議したり、情報交換を行っています。その就労促進の会主催によるフォーラム(公開討論会)が、昨年12月に「チャレンジを育てよう」というテーマで開催されました。

第一部は、東京福祉大学社会福祉学部の松為信雄教授による基調講演で、キャリア発達の視点から「未来に向けて必要なこと」についてお話がありました。その中では、1.生涯発達を見越した支援、2.職業教育の充実、3.個人特性と個別計画、4.教育からの移行支援などについて述べられ、養護学校での〈自立と社会参加〉に向けた教育の重要性が説かれました。さらに、5.地域支援ネットワークの構築についても触れられ、障害がある人たちの社会的自立のために、福祉と雇用と教育との連携が不可欠であることを強調されていました。

第二部は、「これからの学校教育に期待すること~養護学校在学中になにをすべきか~」というテーマで、パネルディスカッションが行われ、雇用・保護者・労働行政・教育現場それぞれの立場から意見が述べられました。

(株)伊勢丹ソレイユ(特例子会社)の四王天氏は、〈心の育成〉の大切さを訴えておられました。「挨拶やお礼やお詫びが心から言えること」「(はじめはできなくても)作業ができるように努力する心」「ていねいに作業する心」を学校教育のさまざまな場面で育てていってほしいというご要望をいただきました。

湘南おやじの会の高田氏からは、保護者の立場から〈学校と家庭との連携〉についてお話をいただきました。その中で、作業学習における「労働」のとらえ方について共通理解が不足している点について指摘があり、教師と保護者と生徒がそれぞれ勝手な思いで取り組んでいるので、発展的な職業教育になっていかない実情を惜しんでいました。そして、職業教育の基本として〈日常生活の仕方〉(生活指導)がいかに大切であるかを強く訴えられていました。その点での連携として、先生たちから子育てについて積極的に教えてもらって、信頼関係を厚くしていきたいと述べられていました(教師側にはその期待に応えられるだけの努力が必要)。また、進路選択にあたっては、障害者の福祉や就労に関する情報を全部公開してほしいという要望が出されました。子どもの進路が福祉施設であれ、就労であれ、障害がある人たちの卒業後の社会生活について、全部知って進路を選択したいという思いが述べられました。

(つしまとおる 藤沢市立白浜養護学校教諭)