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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年4月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

飛騨市における利用者負担軽減策

飛騨市

はじめに

飛騨市は、岐阜県の最北端に位置し、北は富山市に接し、岐阜市から約150km、高山市の北約15kmの位置にあります。面積は約792kmでその約92%を森林が占めており、周囲を北アルプスや飛騨山脈などの山々に囲まれた地域です。人口は約2万9千人、高齢化率は19年1月現在で30%となっています。増加する高齢者と減少する子どもへの対応が大きな課題となっており、子育て環境の充実と福祉対策の強化を市の施策の柱にしています。

合併前の旧古川町、旧河合村、旧宮川村、旧神岡町においては、障害者の福祉サービス基盤が脆弱で、その整備が合併後の大きな課題となっています。福祉の過疎地域とならないために、18年度に策定する障害福祉計画では、今まで設置できなかった日中活動系のサービスや居住系のサービス基盤の整備に重点的に取り組むこととしています。

18年10月の障害福祉サービスの支給決定者は、身体障害者20人、知的障害者75人、精神障害者4人、児童54人の合計153人で、そのうち、施設入所者は53人となっています。

利用者負担の軽減策(18年4月から9月)

障害者自立支援法(以下、自立支援法)が18年4月から施行されることとなり、飛騨市でも利用者負担の増加によるサービス利用の中止が懸念されました。このため、生活支援の要のサービスである居宅介護と利用者負担が激増する通所サービスについての負担の軽減を実施することとしました。

自立支援法の施行の状況が介護保険の施行時と似ていたことから、介護保険の「障害者ホームヘルプサービス利用者に対する支援措置事業」と同様の軽減(所得税非課税世帯:軽減後の利用者負担3%)を実施しました。この支援措置事業は、介護保険制度で1割の利用者負担を導入したことへの緩和措置として5年の期限で実施されましたが、5年を経過した現在も継続しています。このため、自立支援法の居宅介護利用者で1割の自己負担の方が65歳になり介護保険へ移行する時、訪問介護では自己負担が軽減されるケースが発生するため、制度間の不均衡を無くすため軽減措置を実施することとしました。

また、自立支援法の施行により通所サービスの利用者負担が急増することから、実費徴収されていた送迎費用の半額(4,500円)助成を“生計中心者の市民税所得割2万円未満世帯”を対象に実施することとしました。

利用者負担を一律に軽減することは、介護保険では好ましくない施策として国が指摘していたことから、自立支援法においても積極的な検討を行いませんでした。

利用者負担の軽減策(18年10月から21年3月)

18年10月以降の軽減措置については、施設入所(旧法入所施設)のほとんどの方が個別減免等の対象となり、利用者負担が軽減されているため、居宅サービスの利用者負担の軽減について検討を行いました。

障害程度区分の認定調査の折に行った聞き取り調査では、利用者負担が増加して困っている、作業工賃が手元に残らないとの訴えが多くありました。居宅サービスの利用者は、月額上限負担額まで利用している方は極めて少数で、上限額設定による軽減を受けている方はいませんでした。これらの現状を踏まえ、上限月額を引き下げる(例 24,600円を12,300円にする等)か、利用者負担率を引き下げる(例 10%を5%にする等)かを検討しましたが、飛騨市では、障害福祉サービスの利用者が少なかったため、軽減による財政負担も少なく、負担率の引き下げが可能と判断しました。

軽減策の予算は、当初予算額1,500千円を9月補正で、3,778千円追加し5,278千円としました。

地域生活支援事業は、障害福祉サービスに準じて10%の利用者負担としましたが、移動介護、日中一時支援、障害者デイサービス等のサービスは、今回の軽減措置により21年3月まで利用者負担を0%としました。

また、同時期に、隣接する高山市も軽減策の実施を決定したため、高山市と差異のない施策となるように調整を図りました。

軽減の後の自己負担区分 18年10月~19年3月 19年4月~21年3月
障害福祉サービス
(施設入所を除く)
訪問・日中系祉サービス 2.5% 5.0%
 但し 児童サービス 0% 0%
 但し 工賃収入のあるもの 0% 0%
グループ・ケアホーム 決定した負担額の1/2
補装具 自己負担 年額37,200円まで市で助成
地域生活支援事業 日常生活用具 5% 品目の限度額設定有
但しストマ装具は0%
その他の事業 0%
通所送迎実費 1/2助成 所得制限無

おわりに

18年10月から実施した軽減措置を、高山市、下呂市、白川村および飛騨市の飛騨圏域で統一して実施できたことは大変良かったと感じています。第2期障害福祉計画の策定の段階で、21年4月以降の軽減措置についても、飛騨圏域で統一して検討したいと思います。

また、自立支援法の施行を飛騨市の障害者福祉の改革の機会ととらえ、各施策の充実・障害者にやさしいまちづくりの推進を図りたいと考えています。

(飛騨市健康福祉部総合福祉課)