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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年3月号

平成20年度障害保健福祉関係予算(案)の概要

平成19年度予算額
9,094億円
平成20年度予算(案)
9,700億円
対前年度増加額 606億円
(対前年度伸率 6.7%増)

(参考)障害福祉サービス関係費

(19年度予算) (20年度予算案) (増減) (伸率)
○ 自立支援給付(福祉サービス)
4,873億円 5,345億円 +472億円 (9.7%増)

―主要事項―

1 障害者の自立生活を支援するための施策の推進

(19年度予算) (20年度予算案) (増減) (伸率)
○ 自立支援給付(福祉サービス)
4,473億円 4,945億円 +472億円 (10.6%増)
○ 地域生活支援事業
400億円 400億円 ±0億円  
○ 自立支援医療(公費負担医療)
1,313億円 1,414億円 +101億円 (7.7%増)

2 精神障害者の地域移行を支援するための施策の推進

○ 精神障害者地域移行支援特別対策事業(新規) 17億円  
○ 精神科救急医療体制整備事業
15億円 17億円 +2億円 (13.3%増)
○ 認知症疾患医療センター運営事業(新規) 1.9億円  

3 障害者の就労を支援するための施策の推進

○ 工賃倍増5か年計画支援事業
5億円 16億円 +11億円 (220%増)

4 発達障害者支援施策の推進

○ 障害保健福祉関係
8億円 8.4億円 +0.4億円 (5.0%増)
※ 厚生労働省全体
9.6億円 10.7億円 +1.1億円 (11.5%増)

5 自殺対策の推進

○ 障害保健福祉関係
1.7億円 3.8億円 +2.1億円 (124%増)
※ 厚生労働省全体
12億円 14億円 +2億円 (16.7%増)

6 その他

○ グループホーム等の整備促進(新規) 30億円  

障害者自立支援法の抜本的見直しに向けた緊急措置

障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けて、当事者や事業者の置かれている状況を踏まえ、特に必要な事項について緊急措置を講ずる。

「特別対策」で造成した基金の活用を含め満年度ベースで310億円

〔平成20年度予算案〕130億円

1.利用者負担の見直し(20年7月~) 70億円

(満年度ベースで100億円)*

  • 低所得世帯を中心とした利用者負担の軽減【障害者・障害児】
    負担上限月額を現行の半額程度に引下げ
  • 軽減対象となる課税世帯の範囲の拡大【障害児】
    年収約600万円未満 → 約890万円未満(3人世帯の場合)
  • 個人単位を基本とした所得段階区分への見直し【障害者】

2.事業者の経営基盤の強化(20年4月~) 30億円

(「特別対策」の基金の活用を含め180億円)*

  • 通所サービスに係る単価の引上げ
  • 入所サービスにおける入院・外泊時支援の拡充 等
  • ほかに基金事業の活用(150億円)

3.グループホーム等の整備促進(20年度~) 30億円*

  • グループホーム等の施設整備に対する助成

~平成20年度予算案の概要~

1 障害者の自立生活を支援するための施策の推進

(1)良質な障害福祉サービスの確保 4,945億円

ホームヘルプ、グループホーム、就労移行支援事業等の障害福祉サービスについて、障害福祉計画に基づき、各市町村において推進を図る。

(2)障害児施設に係る給付費等の確保 642億円

知的障害児施設等の障害児施設において、障害のある児童に対する保護・訓練を行うために必要な経費を確保する。

(3)地域生活支援事業の着実な実施 400億円

障害者のニーズを踏まえ、移動支援や地域活動支援センターなど障害者の地域生活を支援する事業について、市町村等における事業の着実な実施及び定着を図る。

(市町村事業)

相談支援、コミュニケーション支援、日常生活用具給付等、移動支援、地域活動支援センター 等

(都道府県事業)

専門性の高い相談支援(障害者就業・生活支援センター等)、広域的支援、サービス提供者等の育成 等

(4)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供 1,414億円

障害者の心身の障害の状態の軽減を図るための自立支援医療(精神通院医療、更生医療(身体障害者を対象)、育成医療(身体に障害のある児童を対象))を提供する。

(5)障害者自立支援法の着実な施行の推進 85億円

障害者自立支援法を着実に施行するために、必要な事業を推進する。

○障害者保健福祉推進事業 25億円

障害者自立支援法の着実な施行のための先駆的・革新的なモデル事業に対する助成を行い、障害者に対する保健福祉サービスの一層の充実を図る。

○障害者就労訓練設備等整備事業 30億円

既存の障害者施設等が就労移行支援等の新たな障害福祉サービスを実施するために必要となる設備整備等に対する助成を行う。

(6)障害者の社会参加の促進 28億円

視覚障害者に対する点字情報等の提供、手話通訳技術の向上、ITを活用した情報バリアフリーの促進、障害者スポーツや芸術文化活動の振興等を支援し、障害者の社会参加の促進を図る。

○北京パラリンピック競技大会派遣等事業の実施(新規) 83百万円

北京パラリンピック日本代表選手団の派遣及び国内強化合宿を実施する。

2 精神障害者の地域移行を支援するための施策の推進

(1)精神障害者地域移行支援特別対策事業の創設(新規) 17億円

受入条件が整えば退院可能な精神障害者の退院支援や地域生活支援を行う地域移行推進員を配置するとともに、地域生活に必要な体制整備を促進する地域体制整備コーディネーターを配置することにより、精神障害者の地域生活への移行を着実に推進する。

(2)精神科救急医療体制の強化 17億円

精神障害者の地域生活を支える医療提供体制を充実させるため、24時間対応可能な情報センターの機能強化、身体合併症対応施設の確保、診療所に勤務する精神保健指定医の救急医療機関での診療協力体制の構築など、地域の実情に応じた精神科救急医療体制の強化を図る。

(3)精神障害に対する国民の正しい理解の促進 86百万円

精神疾患や精神障害者に対する国民の正しい理解を促進するための普及啓発を推進する。

(4)認知症疾患医療センター運営事業の創設(新規) 1.9億円

認知症の専門的医療の提供体制を強化するため、認知症疾患医療センターを創設し、鑑別診断、専門医療相談、合併症対応、医療情報提供等を行うとともに、かかりつけ医や介護サービスとの調整を行う。

3 障害者の就労を支援するための施策の推進

福祉施設で働く障害者の工賃倍増5か年計画の取り組みの推進 16億円

福祉施設等で働く障害者の工賃水準を引き上げ、障害者が地域で自立して生活することを支援するため、都道府県が策定した「工賃倍増5か年計画」に基づき実施する事業を推進するとともに、工賃水準の向上に資するための設備投資等の借入に係る債務保証への助成を行う。

障害者の「働く場」に対する発注促進税制の創設

企業が障害者の「働く場」に対する発注を前年度より増加させた場合に、一定の期間内に取得等を行った固定資産について、一定の上限の範囲内で前年度からの発注増加額と同額の割増償却を認める。(平成20年度から24年度までの時限措置)

4 発達障害者支援施策の推進

(1)発達障害者への支援手法の開発や普及啓発の着実な実施 6.3億円

発達障害者の支援手法を開発するとともに、専門家の育成や普及啓発について着実に実施する。

○発達障害者支援開発事業の推進 5.2億円

発達障害のある子どもの成長に沿った一貫した支援ができるよう先駆的な取組を通じて発達障害者への有効な支援手法を開発・確立する。

○発達障害者就労支援モデル事業の創設(新規) 43百万円

国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、青年期発達障害者の職業的自立を図るため、関係機関等と連携して就労支援モデル事業を実施する。

○発達障害研修事業の充実 18百万円

各支援現場における支援内容の充実を図るため、発達障害者支援に携わる職員等に対する研修を実施する。

○発達障害情報センター機能の充実 49百万円

発達障害情報センターにおいて、発達障害に関する国内外の文献、研究成果等を集積し、全国の発達障害者支援機関等への情報提供を行うとともに、発達障害に関する幅広い普及啓発活動を実施する。

(2)発達障害者の地域支援体制の確立 2.1億円

発達障害者の支援を実施する地域支援体制の確立を推進する。

○発達障害者支援センター運営事業の推進(地域生活支援事業の内数)

各都道府県・指定都市に設置する発達障害者支援センターにおいて、発達障害者やその家族などに対して、相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供などを行う。

○発達障害者支援体制整備事業の推進 2.1億円

ライフステージに応じた一貫した支援を行うため、都道府県・指定都市の各圏域において、支援関係機関のネットワークを構築する。

5 自殺対策の推進

(1)うつ病等の精神疾患に関する国民の正しい理解の促進 86百万円

自殺との関係が強いとされるうつ病等の精神疾患に関する正しい理解のためのメディアを活用した広告活動、街頭キャンペーン等による普及啓発を実施する。

(2)自殺予防に向けた人材養成の推進(新規) 1億円

うつ病の早期発見・早期治療など自殺予防に向けた人材養成を推進するために、必要な研修事業を実施する。

○かかりつけ医うつ病対応力向上研修事業の実施(新規) 98百万円

うつ病の早期発見・早期治療につなげるため、かかりつけ医に対するうつ病の診断・治療技術の向上や医療連携等に関する研修を実施する。

○心理職等カウンセリング技術向上研修事業の実施(新規) 4百万円

精神科医をサポートする人材を養成し、精神科医療体制を充実させるため、医療現場に従事する心理職等を対象とした専門的な研修を自殺予防総合対策センターにおいて実施する。

(3)自殺未遂者・自殺者遺族対策事業の実施(新規) 33百万円

自殺未遂者や自殺者遺族へのケア対策のガイドラインの普及を推進するため、医療従事者に対する研修や自殺者遺族等を対象としたシンポジウムを開催する。

(4)自殺予防総合対策センターによる情報提供等 27百万円

自殺予防総合対策センターにおいて、国内外の情報収集、Webサイトを通じた情報提供、関係団体等との連絡調整を行うとともに、関係機関の相談員に専門的な研修を実施する。

(5)地域での効果的な自殺対策の推進 1.3億円

地域における先進的な自殺対策の取組を検証・推進するとともに、地域精神保健従事者に対して実践的な研修を実施する。

(6)自殺問題に関する総合的な調査研究等の推進 3億円

※他局計上分

自殺に至った経緯を克明に解明する研究、自殺予防に係る地域介入研究、救急部門における再発防止研究等を実施する。

6 その他

(1)障害福祉サービス提供体制の整備 142億円

○社会福祉施設整備費(保護施設分を含む。) 112億円

生活介護、自立訓練、就労移行支援等の障害者の日中活動等に係る事業所の整備を計画的に促進するため、社会福祉施設等施設整備費において、必要な経費を確保する。

○障害者就労訓練設備等整備事業(再掲) 30億円

既存の障害者施設等が就労移行支援等の新たな障害福祉サービスを実施するために必要となる設備整備等に対する助成を行う。

※うちグループホーム等の整備促進分(新規) 30億円

障害者の居住の場を確保するため、グループホーム等の整備に対する助成事業を創設する。

(2)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備 149億円

※他局計上分を含む

心神喪失者等医療観察法を適切に施行するため、引き続き、指定入院医療機関の確保を図るとともに、医療従事者等の研修を行うなど医療の提供体制の整備を推進する。

(3)障害者に係る手当の給付 1,286億円

特別児童扶養手当、特別障害者手当等に必要な経費を確保する。