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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年3月号

1000字提言

一般採用の魅力

紺野大輝

学生から社会人になる時に行うのが就職活動。今回は障害者の就職活動についての話題です。私が就職活動を始めたのは大学3年の終わりから。障害者採用の存在を知らなかったため、一般採用で就職活動を行っていました。私は、ホテル業界を目指していました。当時は人気のある業界で倍率も高かったです。私は工学部で留年もしている、そして障害をもっている。大きな壁が数多くありました。

就職活動が厳しいのは予想していましたが、それは自分の想像をはるかに超えるものでした。最初の40社は一次面接すら通過しませんでした。ある面接では、面接室に入って二歩歩いただけでこう言われました。「うちは新卒では障害者は雇わないから出ていってもらえる。話すことないから」。椅子にすら座らせてもらえず、わずか3秒で不合格。働いて収入を得ることはそれだけ厳しいことなのだと痛感させられました。しかし、諦めようとは思いませんでした。続けていれば結果はついてくる。その想いが通じたのか、50社目にして内定を得ることができました。

しばらくして転職をしたのですが、その時は障害者採用で受けました。障害者採用の場合、健常者との競争もなく、障害についてもじっくり話を聞いてもらえる。それが障害者採用の魅力だと私は思いました。一般採用だと集団面接が多いため、障害についてもしっかり伝えるのも難しいことがあります。

では、一般採用の魅力は何か。それは、すべての企業が就職活動の対象となることです。落ちる数は当然増えますが、それでも受けてみなければ分かりません。障害者を雇う予定のない企業でも、面接の結果採用してみようとなることも多くあります。

一般採用を成功させる秘訣はいくつかあります。まずは、障害者雇用について自分自身で理解しておくことです。法律によっても定められていますが、十分に理解をしていない企業も多くあります。そして、障害についての説明に加え、何ができて何ができないのかをはっきりさせ、どのような貢献ができるのかを伝えることです。数値を入れるとより具体的になり、相手の方も理解しやすくなります。そして何と言っても一番必要なことは、当たって砕けても決してめげない精神です。

障害をもっている方からアクションを起こし社会の中に入っていく。そうすることで障害者の雇用についても変化が起こってくるのではと感じております。

(こんのたいき 笑顔配達人「笑顔がいいね」代表)