「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年3月号
重点連載 障害者自立支援法と自治体施策
土佐清水市における独自の取り組み
土佐清水市
はじめに
土佐清水市は高知県の南西に位置し、人口約17,000人、足摺宇和海国立公園の中にあり、豊かな自然環境に恵まれた観光と漁業のまちです。
平成18年4月に障害者自立支援法が施行され、障害のある人を取り巻く環境は、大きく変化しています。こうした状況を踏まえ、本市では、これまでの障害者計画の基本理念である「ノーマライゼーションの実現」と基本方針である「完全参加と平等」を尊重しながら、障害者自立支援法等の制度改革や障害のある人を取り巻く環境と要望の変化に対応するため、障害者計画・障害福祉計画を策定しました。
すべての人が幸せに暮らし続けられる、やさしいまちをめざして
1.住み慣れた地域や家庭で、安心して幸せに生活が送れるような社会を築く
2.住民一人ひとりが障害や障害のある人について正しい理解と認識を持つ
3.障害のある人が日常生活をおくるうえで、能力を最大限に発揮できる生活環境や雇用機会の整備等を推進する
を重点として障害福祉の充実に向けて取り組んでいます。
8つの「テーマ」に基づく施策の展開
1.啓発・広報
障害のある人が、地域の人と共に暮らす地域社会形成のため、さまざまな関係機関と連携しながら啓発活動等を行い、障害や障害のある人への理解を深めるための取り組みを行っています。
2.生活支援
障害のある人が、悩みや問題を気軽に相談でき、相談内容に応じた助言や指導、施策の提供を行う等の障害のある人の悩みや問題に適切に対応するための体制作りを行っています。
3.生活環境
生活するうえでの居住空間のバリアフリー化は、障害の進行を抑制するうえで有効な手段となりますので、障害福祉サービスや住宅改修に関する福祉制度等を活用し、障害のある人が快適に生活を送るための支援を実施しています。
4.教育・育成
障害のある子どもの障害各期におけるニーズに応じた支援を行うとともに、発達段階に応じ関係機関が適切な役割のもとに、障害状況等を考慮し、効果的な支援を行うために障害児デイサービス等の障害福祉施策を実施しています。
5.雇用・就業
障害のある人の就労は、自立生活のために非常に重要であることを踏まえ、就労促進のために関係機関と連携し、福祉施策や雇用施策の活用による体制整備に努めています。
6.保健・医療
障害のある人にとって、障害の重度化の予防のために保健・医療の充実は欠かすことができません。また、障害の軽減のためのリハビリテーション医療が重要な役割を果たすことから、医療機関等との有機的な連携体制の強化に努めています。
7.情報・コミュニケーション
情報収集やコミュニケーション手段の確保にハンディのある視覚・聴覚等に障害のある人や知的障害のある人等の社会参加促進のために情報提供体制の整備を行うために、手話奉仕員の育成事業を実施するとともに、手話通訳者や手話奉仕員、要約筆記者等の派遣事業を実施しています。
8.文化・スポーツ・社会参加
障害のある人の文化・スポーツ等への参加機会の確保は、健康、自立意欲の効用及び地域住民との交流を広げ、理解を深める観点から重要であると考えます。
そのため、障害のある人のイベント等への参加機会を確保するため、市主催のイベントを行う等、社会参加促進に努めています。
利用者負担金の全額助成制度
独自の負担軽減策としては、障害福祉サービス及び地域生活支援事業における自己負担金の全額を助成する制度を実施しており、障害福祉サービスについては、居宅介護や児童デイサービス、短期入所等の居宅系サービスの自己負担金について全額助成を実施しております。また、地域生活支援事業については、移動支援事業、地域活動支援センター事業に加え、日中一時支援事業についても全額助成の対象事業として実施しており、訪問入浴サービス事業を新たに平成20年4月より対象事業として実施する計画です。
その他の障害者福祉
地域生活支援事業として生活訓練事業、更生訓練費給付事業、自動車運転免許取得・改造助成事業等を実施していますが、平成20年4月からは社会福祉法人による福祉ホーム(3障害対象)の運営も始まります。
市単独事業としては、人工透析のために定期的に通院をしている方に対して、市の定めた基準に該当する場合に月額5千円を上限として交通費の一部を助成する事業や、肢体や上肢・下肢または視覚等に障害のある方が通院等にタクシーを利用する場合の料金の一部を助成(年間1万2千円:5百円券24枚)し、障害のある方の社会活動の範囲を広げることを目的として、タクシーチケット給付事業を実施しています。
おわりに
障害のある人やその家族のもつさまざまな問題やニーズに可能な限り迅速に対応し、生きがいのある自立した生活が送れる社会をめざして、関係機関・団体等と連携して問題解決に取り組んでおります。
(土佐清水市健康福祉課福祉児童係)