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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年4月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●コップを持つために、他●

提案者:田中仁 イラスト:はんだみちこ

田中仁(たなかひとし)さん

高校2年(16歳)の時にラグビーにて頸椎損傷(C4,5)となり、全身マヒ(かろうじて腕の屈曲のみ可)。電動車いす使用。26歳で結婚し施設退所、現在は、インターネットプロバイダにて在宅勤務。鹿児島市在住。


コップを持つために

私は頸椎損傷で手首も指も全く動かせないため、飲み物などはストローを使うことが多いのですが、コップで直接飲みたい時があります。特に温かい飲み物やお酒類です。受障後、自分で食事するようになってから、いろんな方法を考えていました。

そして、ようやく見つけた方法があります。プラスチック製のマグカップの取っ手に、自助具に刺した曲がったフォークを差し込み、ちょうどいい角度になるようにすると、持つことができたんです。

ちょっと器用な持ち方ですが、慣れると問題なく使えます。自宅でも外出の際にも自助具・フォーク・コップの三種の神器は私にとって力強い味方です。

マグカップの取っ手の大きさや重さなど、ちょうど良いものを探すのは一苦労するのですが、買い物などの際にはついでに雑貨コーナーなどを見渡して、お目当てのマグカップを見つけた時は即買い置きしてます。


簡易スロープは一台二役

私はお酒を飲むのが好きで、会社や友人との飲み会などで、よく夜の街に出かけるのですが、まだまだ夜の飲食店には段差がつきものです。手動車いすなら少し持ち上げることもできますが、電動車いすは私を合わせると約140キロもあるため、付添が一人の時などは、どんなに中が広くておいしそうなお店でも、諦めることがありました。

そこで私は市販のスロープ(長さが50センチくらい)を購入し、100円ショップで購入した手提げ袋にスロープを入れて、外出の際には車いすの後ろに袋を引っかけて出かけるようにしています。これがあれば、10センチ前後の段差は楽に越えられるようになり、入れる店も増えました。

そして簡易スロープのもう一つの使い方です。この簡易スロープは2枚組なのですが、1枚を裏返して膝の上に置くとちょうどよい台になるので野外などでテーブルがない時などは、テーブル代わりに使えたりもします。ちなみに、裏返して使うのは、表面が滑り止め加工されているので膝から落ちにくくなるからです。

まさに「出かける時は忘れずに!」です。


物を落としたときの必需品

普段の生活で、よくやる失敗がいろんな物を床に落としてしまうことです。指も動かず、ましてや前屈みになって物を拾い上げることができない私は、落とした物を拾うためのアイテムをいくつか用意しています。

一つは介護用品のリーチャーと言われるものです。先がL字型になっているので布や取っ手などがある少し重めの物は、これを使って拾います。

しかし、このリーチャーを落としたらどうするか……。その時は、100円ショップに売っているS字フックの長いタイプの物が活躍します。リーチャーを含めて軽くて引っかけられる物はこれを使います

しかししかし、紙や本など取っ手がない物はどうやって拾い上げるか……。この時に役立つのがビニールテープです。これを口で引っ張りテープを伸ばして床に垂らせば、簡単に紙などが拾い上げられます。

と言うわけで、落とした物を拾うための三種の神器は「リーチャー・S字フック・ビニールテープ」です。

ちなみに、少し重い雑誌などでもビニールテープを長めに伸ばして、落とした雑誌の上に貼り付けるように落として、さらにリーチャーでテープを少し押しつけてからテープの芯の所を持ち上げると意外と楽に持ち上げられますよ。