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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年7月号

わがまちの障害福祉計画

半田市障害福祉計画

半田市福祉課障害援護担当

第1期障害福祉計画からこれまでの動き

障害者自立支援法が本格施行されて以来、約1年半が経過し、行政、利用者、事業者ともに制度の利用に慣れてきた。

■負担感の軽減

本市においては、1割負担の導入による負担感を考慮し、1.上限負担額を国制度と地域生活支援事業を合算して国制度における上限額の範囲内とすることとし、また、2.地域生活支援事業の負担割合を、低所得1は4%、低所得2は6%とすることで安定したサービス利用を目指した。

■障害児のサービス充実

また、障害児のサービス充実のため、学齢期障害児(小学校から高等学校年齢)を対象とした日中一時支援事業C型を設けた。このサービスでは、学齢期前児童の受け入れも一部可としたため、実質的に市内の児童デイサービス施設は、すべてC型へと移行し、大人の障害福祉サービスとの狭間を埋めることで一生涯を支えるサービス体系が確立した。

■移動支援の弾力的運用

さらに、移動支援事業については、自宅発着の要件を外したことで、利用者にとって非常に使いやすいサービスとなった。

■障害者相談支援センターのオープン

本市では、市民のニーズを直接受け止めることで社会的ニーズを把握するため、平成18年10月から市福祉課において相談支援事業を行ってきた。しかし、第1期の計画策定時から行政で扱う限界も議論されており、その結果、平成20年4月から半田市社会福祉協議会内に障害者相談支援センターをオープンし、4人の専門的スタッフによる継続的に安定したサービスの提供を目指すこととなった。

■障害福祉サービス事業所の動き

障害者自立支援法が始まって、事業所は、今までより増して利用者の工賃アップのためさまざまな取組みに乗り出した。たとえば、中心市街地商店街で日本そばと大判焼きの店をオープンさせる、パチンコ店の景品としてクッキーを卸す、祭りイベント用の記念グッズ(木札)を作成販売するなどをはじめ、養鶏、名刺印刷、きのこ栽培など、さまざまな業種に広がりをみせており、事業所は工賃アップのためにそれぞれ創意工夫を行っている。

「だれが作ったか」ではなく、「何を作ったか」。一般事業所に負けないクオリティを保証してこそ、高い工賃を獲得できることを各事業所が理解し実践し始めている。

■第1期の検証

しかしながら、本市の地域生活支援事業も順風満帆というわけではない。

地域生活支援事業は、自治体の特性に合わせて設けるため、国制度と比較し、利用者にとって比較的便利な内容となる反面、国制度の障害福祉サービスと異なり、必ずしも国県の補助金が満額支給されないため、過剰な伸びは自治体財政を圧迫する恐れがある。この点については、障害のある方の地域生活を将来にわたって安定的に支え続けるために、地域生活支援事業に対しても国制度と同様の補助金が交付されるよう、強く期待するものである。

第2期障害福祉計画にかける想い

さて、第1期策定時は、間近に迫った本格施行との時間的戦いの中で、行政も事業者も利用者も、法施行後のイメージがつかみきれないままスタートしてしまった感がある。

この点については、今回の第2期策定時の軌道修正に期待をする事業者、利用者も多いと考えており、このためには、丁寧な聴き取り作業の積み重ねや、相談支援事業の中で制度的課題とされてきた点について計画への反映作業を行わなければならない。

■ワーキング会議の開催

このため、決まった委員による課題検討ではなく、現実に課題として浮き彫りになってきた案件を、その課題に関係する方が集まるワーキング会議を積み上げていく方式を採用したい。

行政による行政のための計画づくりではなく、すべての参加者が当事者意識を持って参加するワーキング会議の開催により、出来上がった計画書に互いに責任を持ち、地域が一丸となって計画推進に向かっていけるよう取り組んでいきたい。

■地域生活支援事業の見直し

今回重点項目として考えられるのは、サービス単価の見直し、負担上限額の再検討、福祉ホーム事業の取組み、居住サポート事業の検討、就労支援体制の構築などであるが、制度的な不備で見落とされてきた点についても、ヒアリング等を通じて細やかな対応を図りたい。

むすびに

今回の計画策定にあたり、障害者就労や住まいの場の確保など、これまでの福祉の枠組みでは解決し得ない問題も多く、実現に当たっては福祉を超えた社会全体をコーディネートする力が求められてくる。

福祉が福祉の枠を超えたとき、障害のある方の地域生活を支える仕組みができるものと考えており、そのためにも異業種間の関わりも含め、行政の果たす役割は大きい。