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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年7月号

計画の評価と期待

郡山市障がい福祉計画
~第1期計画の評価と第2期計画の策定

宮下三起子

平成15年第1期計画の策定委員として

私が郡山市障がい福祉計画に関わったのは、平成15年4月である。郡山市の障害福祉課から話があり、私が当事者として参画できる栄誉にあずかる。当事者が参加できるのは、とても大事なことだと思うが、果たして何をどのようにしたらよいのか不安を抱えながらの出発であった。

郡山市は、人口30万の中核市。福島県の中心部にあって、地方にしては比較的生活しやすい環境にある。しかし、まだまだ首都圏等に比べると、地域で生活している(一人暮らし)障がい者の方は少ないし、障がい福祉施策もまだまだ遅れている感がある。

自立生活運動をしながらどのようにしたら、障がいをもつ方が生活しやすく、まちに出られる環境になるのか力を注いでも、行政に要望と提案をしても、本法人でできる範囲のことしかできないのが現状であった。策定委員として委員会の場で意見が言えて、それを福祉計画に反映できたらという思いもあった。

郡山市障がい福祉計画では、平成15年7月に第1回策定委員会が行われた。策定委員会委員は、学識経験者、障がい者団体、ボランティア、福祉施設関係者、関係機関、公募等の14人。しかし、当事者は私一人であった。別の会議にも何度か参加しているが、当事者が過半数いるという会議は少ない。当事者一人では意見を全体的に反映するのは難しい。さまざまな障がいをもつ方が大勢参加することによって、さまざまな視点から提案できるのである。

実務者会は、当初3回の予定だった。しかし、委員から「3回では決められない」という意見が出され、懇談会という形で2回の開催や、障がい団体(3障がいの、身体障がい、知的障がい、精神障がい)のヒアリング等、多くの意見を取り入れる体制をとったので、それはとても良いことと思われた。また、第1期障がい福祉計画は、「だれにでも分かりやすい」ものにするため、漢字にルビをつけることや障がい者の「害」をひらがな表記にした。

郡山市の特長として、施設支援より地域支援に力を入れており、郡山市単独の作業所の家賃補助・職員の社会保険料補助、グループホームの家賃補助などの行政支援がある。また、今回の計画から、郡山市単独事業として、障がい者と健常者の交流事業が盛り込まれた。スポーツ教室などは第1期の障がい福祉計画に基づいて開催している。

市民ネットワークでの意見を反映

その当時の私は、委員に選ばれた責務として、本法人で開催している市民ネットワークで意見を聴くことにした。「市民ネットワーク」(参加者は当事者、社会福祉士、事業所、教員等)とは、毎月障がい者問題を話し合う場であり、そこで話しあったことを、策定委員会の時に提案してきた。特に教育の問題では統合教育を目指すと言われているが、現状では施設設備等も含めて難しい状況であった。

また、就労に関しても、雇用といっても軽度の障がいをもつ方が多く、重度の障がいをもつ方の場合は非常に難しい。いまださまざまな問題が山積みのままであるが、今後10年間で真剣に考えて実効性のある提案をしていきたい。私が選ばれて作られた障がい福祉計画であるから、私にも責任があり、より実効性のあるものにしていきたいと思って関わってきた。

平成20年第2期計画の策定委員として

今年度に入って、引き続き第2期郡山市障がい福祉計画の策定委員に選ばれた時に、あれから5年が経ったのかという思いと同時に、第1期で選ばれた時から何もできなかったことを反省している。

第2期の計画では、障害者自立支援法がどのようになるのかが気になる。その一方で、地方の特性を生かして、郡山市地域生活支援事業では、郡山市の独自性を生かした施策が増えてほしいと思っている。障がいをもつ方が普段生活している現場をみて、実際にそのことに関する相談を受けている中で、どうしても制度ではまかなえない「溝」が見えてくる。本来は、ケアマネジメントを行いながら、社会資源に結びつけるということになっているが、本人のニーズに合った社会資源が少なかったり、本人の希望する生活が難しいというのが現状である。

また、障害者自立支援法の中で、自立支援協議会で問題や課題を整理しながら、第2期障がい福祉計画に反映していきたい。

障がいをもつ者は普段生活している中で、生活のしづらさを実感している「当事者」だからこそ、郡山市に対して有効な提案をしていくことのできる第一人者ではないか、と私は思っている。しかし、障がい福祉計画に関わることになり、自分たちのことを決めていく上で、当事者としての考えや意見がいかに大事かということが骨身にしみて分かった。

最後に、郡山市の障がい福祉課の皆様方には、いろいろご協力・ご理解いただき、ここにお礼を申し上げる次第である。

(みやしたみきこ 特定非営利活動法人あいえるの会相談員)