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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年7月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●釣り竿を棒代わりに、他●

提案者:金城太亮 イラスト:はんだみちこ

金城太亮(きんじょうたいすけ)さん

4人兄弟の末っ子で、5歳の頃沖縄病院に入院しながら、隣にある森川養護学校に通う。卒業後23歳の頃に退院。現在、宜野湾市で一人暮らしを満喫中。


釣り竿を棒代わりに

私は筋ジスなので物を持ったりボタンを押したりすることができません。そのため携帯電話やリモコン、玄関のスイッチなどを手作りのケースにはめ、目の前の台に固定しています。それぞれの位置は一本の棒で押すため、微妙に距離を変えています。特に玄関のスイッチは割り箸を付けて棒の先近くについている爪楊枝で引っかけて押します。

棒は軽くて丈夫な釣り竿を使用しています。あごで押すのでガーゼを巻き付けてあごが痛くならないようにしています。先端部分は携帯やリモコンのボタンを押しやすくするためにゴム(滑り防止)をつけています。以前はバルサという木の棒を使っていましたが、折れやすいという欠点があり、修復するたびにテープの重みで持てなくなり新しい棒に変えました。釣り竿は折れにくく軽いため使い始めて2年くらい経っています。


3台のパソコンを1台で操作

私は寝たきりですが、一人暮らしをしながらDTPの仕事をしています。仕事上いつの間にか使用しているマシンはノートパソコン(Win)、デスクトップ(Win)、Mac G4の3台を使用しています。この3台はディスプレイ・マウス・キーボードを一つで操作します。まずデスクトップ(Win)とMac G4のディスプレイ・マウス・キーボードは、切り替え機を通すことにより一台で操作が可能になります。ノートパソコンについては、VNCというソフトを使いデスクトップから遠隔操作ができるためマウスも必要ありません。

また、パソコンの電源も自分でつけるようにしています。デスクトップは手元にスイッチ部分だけを持って来られるので棒で押します。

ノートパソコンは離れた場所に設置しているため自転車のブレーキワイヤーを使い、ワイヤーの先を電源部分に合わせ、棒でワイヤーを押すことによりスイッチが入ります。


マウスは親指だけで操作

3台のマシンの操作は、POINT PADを使っています。POINT PADとは、ノートパソコンの指でなぞる部分を外付け用にしたものです。

通常はペンを使って操作しますが、私は親指を使っています。操作しやすいように爪を伸ばしています。それから横になったままの状態で操作するので、PADを寝かして使用するのではなく、垂直に立てるような感じで手作りの台を置きマウスが動かないように固定します。そして、爪とマウスが真っすぐに当たるようにして操作し、マウスの台が動かないように台の底部分には滑り止めのゴムをくっつけ、さらに上から鉛のような重りを置くことでマウスを固定させています。

また右クリックは、PAD左上部分にボタンが付いていますが指で押すことができないので、ボタン部分に爪楊枝をくっつけ、棒をテコの応用で左に押すとクリックされるようになっています。

パソコンを使い仕事としてやっていくために、できるだけ自分自身で操作(スイッチ)ができるように工夫しています。イメージがわいてすぐに形にできる環境でないとストレスがたまりそうなので^^;