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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年3月号

知り隊おしえ隊

大阪、みなみとなんばパークス

山名勝

大阪では御堂筋の南北両端の地域を「きた」と「みなみ」と言います。「きた」はJR大阪駅周辺から中之島あたりを指し、「みなみ」は心斎橋から道頓堀~難波あたりのことですが、はっきりした境界があるわけではなく、大雑把な地域感とでもいうようなものです。

「きた」の都会的で少し取り澄ました感じに対して「みなみ」は大阪らしい大阪と、よく言われてきました。しかし、御堂筋の西側に「アメリカ村や堀江」などの若者文化やファッションの街が盛んになってきて、昔ながらの大阪イメージは大きく変わっています。

ところで、車いすで散歩したり、食事やお茶をするにはどうでしょう?新しい建物が多い「きた」に比べ「みなみ」はいろんなバリアーが残っていて、車いすで入れるトイレも少なく、不自由な所も多いのは否めません。こんな「みなみ」のイメージを変えたのが「なんばパークス」ですが、そこへ行く前にベタな大阪と新しいスポットを少し廻ってから。

地図拡大図・テキスト

心斎橋から道頓堀界隈

道頓堀や千日前界隈(かいわい)は観光客の期待に応えて「大阪らしさ」を色濃く演出しています。休日には「たこ焼屋台」は長蛇の列、中国や韓国の団体旅行者も、百年に一度の経済危機で激減したといってもまだまだ目につきます。

芝居の松竹座(車いす座席あり)は健在で、近くに歌舞伎座もあり、少し南へ行くとお笑いの吉本がありますが、映画館は全部建て替え中か廃館で、今ゼロです。大阪土産やたこ焼き、ラーメンなどが幅を利かせていますが、戎橋(えびすばし)の架け替えと道頓堀川の水辺整備で、大きく変わろうとしています。

この界隈は、車いすトイレ過疎地で公衆は1か所だけ、道頓堀中央部のウィンズ(閉館中でもガードマンが開けてくれる)と戎橋北詰のGateJ.の競馬施設のトイレがきれいです。

水掛け不動の法善寺と法善寺横町はすぐ南側ですが、石畳で車いすには厳しい所です。

湊町リバープレイス

道頓堀を西に行くともう一つのお薦めスポット、水辺遊歩道と乗船場やイベントプラザが一体になった、八角形の巨大水辺施設「湊町リバープレイス」があります。人気の立花通りや堀江へ行く新しい橋も架けられ、「リバーカフェ」などお洒落な店があり、トイレの心配もありません。川を挟んで「キャナルテラス」という新しい店舗街も作られています。

向かいのOCAT(オーキャット)は、JR難波駅と高速バスターミナルのある複合施設で、飲食街も広くて車いすでも入りやすい店が多くあります。屋上には緑と花が一杯の庭園があり、風の心地よい季節には上がってみたい場所です。

道頓堀川の船着き場はバリアフリー施設ですが、チャーター船以外は、車いす乗船できる運航船が無いのは残念なことです(海遊館のある天保山の遊覧船やユニバーサルスタジオ行きシャトル船、大観覧車などは車いすOK)。

つながっている地下街と高島屋周辺

みなみの地下街は、千日前通の地下をJR難波駅から、近鉄・地下鉄の日本橋駅までの「なんばウォーク」と、高島屋向かい側のマルイから無印良品まで続く「NAMBAなんなん」がつながった、すごく長い地下街です。

大阪の地下街の特徴は、ずっとつながっていて段差無しで移動でき、地下鉄やJR・私鉄の駅にも連絡しているところです。でも地下街から、高島屋と南海電車乗場方面だけは途中に階段があり、一旦地上に出なければいけません。この10段が長年の懸案です。

高島屋から「なんばCITY本館」を通り抜け、道路を横断すると「なんばパークス」と南海電車高架下の「なんばCITY南館」です。

「なんばCITY南館」は古くからあるファッションと飲食の約90店舗ですが、改装されフル装備の多目的トイレもあります。モールを挟んで、約260店舗とシネマ、各階にガーデンを配した「なんばパークス」があります。

なんでもあるなんばパークス

1階は北側がウィンズなんば、南側がトイザらスと駐車場などで、メイン入口は2階。通路で高島屋や南海電車、南隣りのヤマダ電機などともつながっている大型商業施設です。

南海ホークスの本拠地だった「難波球場」の跡地再開発で、パークスと称しているように全体に緑を取り入れ、屋上の一部には貸し農園もあります。

2~5階まではショップやゲームセンター、料理教室、カフェなど。6~8階はシネコンと飲食店、フードコートと庭園。9階は屋上庭園、南海ホークスのメモリアルギャラリーが出入り口横に作られています。

全体に店内段差は一部の例外だけ、通路も広くて気持ちの良い施設です。エレベーターは中央部にシースルー型が2基、東側と南側に3基ずつ、すべて24人乗りで、東側には駐車場からのエレベーターも別にありスペースは十分です。

多機能トイレは各階に1~2か所ありますが、2期工事でできた南側の方が新しく、ベッド付きフルオストメイト対応でボタン式自動扉、もちろん温水もでます。南隣りのヤマダ電機にも男女別の多機能トイレがあります。また、5階にはキッズトイレや授乳室も作られています。

フロアガイドの他に無料の「みなみ周遊マップ」が置いてあり、コースガイドと周辺18か所の案内ホームページの携帯用コードが掲載されていて便利です。

シネマと飲食街

「なんばパークスシネマ」は大小11シアターのシネコンです。8階が入口、エレベーターで6階に降りて入場するようになっています。各2~3席分の車いすスペースが中央部にあり、一般通路から入場できます。席数の少ないシアターは最前列ですが、中~大シアターは中央部か少し前寄りにあります。

一番大きな「シアター7」は中央列の真ん中に3台分のスペースがあり、車いす座席が見にくい所にあると不満を持っている人は、ぜひ一度行ってみてください。座席の前通路は広く、移乗できる人は車いすを前に置いて、その列のどの座席でもOKです。たまにはドルビーサウンドの大音響を全身に受けて、劇場で見る映画を楽しんでください。ヘッドホーンや膝掛け毛布も用意されていて、車いすトイレもあります。詳しい座席配置や上映時間はネットで調べられます。

帰りは6階から出ますが、フロア全体が飲食店街になっています。一部の店舗には店内段差がありますが、和・洋・中華・コリアンなど何でも揃っています。車いすグループでも平気な、すごく広い自然食と飲茶のバイキング2店はお薦めです。

7階にはラーメン、うどん、カレーやクレープなど軽食のフードコートがあり、気兼ねなく食事ができます。

また、各階にカフェやスイーツの店もあり、どこに入ろうか、迷ってしまうくらいです。ここは車いすでも安心して回れ、楽しみが一杯ですから、ぜひ訪ねてみてください。

◎最寄り駅はJR・地下鉄・近鉄・南海とも「難波」または「なんば」です。各駅改札や地上へのエレベーターは、初めての人には分かりにくいので駅員に聞いてください。

(やまなまさる 大阪市身体障害者相談員)

◎湊町リバープレイス
http://www.oud.co.jp/riverplace/index.php

◎みなみの地下街(なんばウォーク・NAMBAなんなん)
http://walk.osaka-chikagai.jp/

◎なんばCITY
http://www.nambacity.com/newshop/index.html

◎なんばパークス
http://www.nambaparks.com/index2.html

◎なんばパークススシネマ
http://www.parkscinema.com/

◎大阪ブランド情報局
http://www.osaka-brand.jp/index.html