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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年5月号

峡北地域障害者自立支援協議会の取り組み

千塚祐樹

峡北地域の紹介

峡北地域は山梨県北西部に位置し、韮崎市・北杜市で構成されています。冬には八ヶ岳おろしと呼ばれる冷たい風にさらされる地域ですが、韮崎市は春から夏にかけて市の花であるつつじが満開を迎え森林浴を満喫することができます。また、武田家発祥の地としても知られる歴史とロマンに彩られたまちです。北杜市は山高神代ザクラをはじめとする国指定文化財が数多く点在し、歴史的な街並みや高原リゾート地など、豊かな資源に恵まれています。

人口は併せて約8万1千人余りの小さな地域ですが、地域に在住している障がい者にとっては、障害福祉施設や医療機関等の社会資源に恵まれているため、暮らしやすい地域と言えるのではないでしょうか。

地域生活支援事業についても足並みを揃えながら実施していることもあり、地域自立支援協議会についても合同で設置しています。

峡北地域障害者自立支援協議会の組織

協議会(全体会)、連絡調整会議(定例会)、事務局会議のほかに課題別専門部会として「就労支援部会」「地域生活支援部会」「児童支援部会」「相談支援部会」の4つの部会から構成されています。

狭北地域障害者自立支援協議会組織図
狭北地域障害者自立支援協議会組織図拡大図・テキスト

自立支援協議会の取り組み

本協議会は平成20年3月に設立されてから、現在1年を経過したところです。この1年間は各部会での課題の抽出や取り組みの方向性を見出すことに費やしました。その中で、部会ごとに分担して情報収集を実施し、地域福祉機関マップを作成できたことが、唯一の形のある成果であったと感じています。現在は、各部会で抽出した課題について解決に向けた具体的な協議を進めています。

自立支援協議会の特徴

1.圏域ネットワーク会議との連携(当事者・保護者主体)

山梨県が平成16年に策定した「新たな山梨障害者プラン」により県内八圏域の地域療育等支援事業コーディネーターを中心に、圏域ネットワーク会議が設立されました。当事者・家族・事業者・行政などから構成され、意見交換・情報提供・研修会を通じて地域福祉のネットワークを構築することが目的とされています。峡北圏域の特徴は、当事者自らの自己選択・自己決定により、当事者部会が頻繁に開催されていることです。

本協議会の第一目的は、当事者・保護者が抱える問題を解決することであるため、峡北地域では、圏域ネットワーク会議の当事者部会・保護者部会の意見も協議会に集約できるよう組織編成を行っています。また、各部会に1名以上の当事者・保護者を配置し、協議進行に当たっては、当事者・保護者の意見を重視しています。

2.実務担当者の委員配置

自立支援協議会の委員配置等については地域によってさまざまですが、課題別の部会では、特に専門性が求められることや、部会の開催頻度も多いことから実務担当者を基本としています。

3.定期的な事務局会議の開催

本協議会の効果的運営を目的に、月に1回程度事務局会議を開催しています。組織の運営状況を定期的に分析し、行政を中心に、今後の協議会活動の方向性等の打ち合わせを行うことにより、協議会が形骸化しないよう心掛けています。

4.臨機応変な組織変更

本協議会では、設立時の組織編成や委員配置が最終形態であるとは考えていません。実際に協議会は運営してみなければ効果的に機能していない面は浮き彫りになりません。また、今後当事者・保護者のニーズが変化することも十分に考えられることから、それに応じて、組織・委員等についても随時必要な見直しを実施していく予定です。

5.委員の意識統一(提案・連携の意識)

山梨県では、相談支援体制整備特別支援事業を実施しており、山梨学院大学准教授竹端氏・ライフサポートなごみ今井氏が特別アドバイザーとして任命されています。

本協議会の発展においては委員の意識統一が不可欠であることを、特に徹底して指導していただいたことから、本協議会では、提案・連携の意識を基礎理念として活動を行っています。

言いたいことを言い、後は他人に任せるような従来の要求・陳情の意識のままでは地域福祉のネットワーク体制は築けない。意見があれば提案し協力する姿勢を全員が意識することで、初めて、それぞれ違う立場の者同士が地域福祉の改善に向けて歩き出せるのではないでしょうか。

自立支援協議会の必要性

自立支援協議会が設置される以前は、障がい者・保護者は悩みを抱えていても解決できる手段が地域になければ、行政に要求・陳情することしかできなかったと感じています。

自立支援協議会は障がい者・保護者の困っていることを集約し、問題解決に向け全員で考える場であると考えます。地域の障がい者やその保護者が困っていることを困ったままにしないために、福祉・保健・医療・教育等各関係機関が連携を取りながら問題解決に向けた協議を展開していきたいと考えています。

(ちづかゆうき 韮崎市福祉課)