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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年7月号

政策決定への参画
―北海道の知的障害者の場合

田中陽子・光増昌久

私は「札幌みんなの会」のメンバーです。この十数年間、私たちは、人権セミナーや本人活動の研修や交流を企画・運営しながら、札幌市(障害者の政策提言サポーター)や北海道の委員会(北海道障害者会議、地域生活推進検討会議、地方心身障害者施策推進協議会、同計画策定委員会)や障害福祉計画策定に関するタウンミーティングなどの会議に参加してきました。

今は、ケアホームに住み、就労移行支援の事業所に通っています。

知的な障害のある私たちが、都道府県、市町村の福祉の政策に提言したり、論議に参加していくことは大切なことだと思います。でもまだまだ多くの課題があります。

知的障害のある人も会議に参加している、会議の資料にルビ(振り仮名)が付いているだけでは解決しないと思います。

私は、北海道障害者会議(障害のある当事者が全道から15人集まり、課題を論議し、知事に意見・提言を述べる)に2年間参加しました(平成8年から2年任期で開催された会議ですが、第5期、平成17年で残念ながら終了しました)。

その後、北海道地方心身障害者施策推進協議会、同計画策定委員会の委員として参加しました。

昨年は、北海道の障害者福祉計画をつくるための、タウンミーティングに参加し、知的障害のある当事者の立場で自分の自宅から独立して、地域生活を目指すため相談支援事業者に相談し、一緒にケアホームを見学して入居したことを話しました。

また北海道の施設入所者の聞き取りを行うための利用者説明会に当事者の立場で入所施設を訪問して、自分がどうして親元から独立して、ケアホームに今住んでいるかなど自分の経験を話しました。入所施設の説明会には、相談支援事業者と北海道の職員と一緒に参加しました。

施設での説明をする前に、北海道では、知的障害者のピアカウンセリング事業に補助金を付けていただきました。道内の4つの当事者グループが参加して、各地で勉強会やピアカウンセリングを実施しました。身体障害者のピアカウンセラー、精神障害者のピアサポーターからも体験や相談の仕方をわかりやすく何回も説明していただきました。

第1期の計画を作る時のタウンミーティングが旭川で開催されたときに、旭川の知的の障害のある当事者がこう発言しました。「計画を作るときは、ちゃんと入所施設にいる人の意見を聞いて作ってください」

最初の計画は、事業者、市町村が出したデーターで作られたそうです。平成23年度の数値目標は次の通りです。

北海道障がい福祉計画の目標は、入所施設の定員減少見込数が1,656人(13.7%)、入所施設からの地域生活移行が2,366人(19.6%)です。

第2期の計画を作る論議をしたときに、入所施設の利用者に一人ひとり聞き取りする計画が作られました。

昨年実施した施設入所者の1万1千人の聞き取りは、一人ひとり面接して行いました。聞き取りの用紙も3種類作り、それぞれの理解に合わせて使いました。

各施設に私たちが出向いて説明して、その後聞き取り調査が行われました。結果として、意思確認できる人の3割の利用者が施設以外の所で生活したいと希望しました。でも家族(親)の7割が施設での生活を希望していました。本人の思いと家族の考えの開きに驚きました。

この報告書を作るとき、道の職員は、私たちに意見を求めてきました。「わかりやすい図を入れる。わかりやすい表現にする(英語のカタカナでわからない表現が使われている)。ルビを入れる」などの意見を述べました。この意見も入れて本人向けの簡略版もわかりやすく作られました。でも制度をやさしく説明する資料は、むずかしいですね。

会議で意見を述べて、具体的に実行する段階でも障害のある当事者が関わり、当事者の視点でアドバイスしたり、当事者主体の制度にするために私たちは、いろいろ活動することが重要だと改めて思いました。

私の会議参加の経験と感じていることを最後に述べます。

「私は、北海道地方心身障害者施策推進協議会、同計画策定委員会にでて、思ったことは、資料はぶあつくて見づらいことです。ルビがなく、むずかしい資料も多かったです。りかいすることはむづかしかったです。何を話しているか、わからないまま、おわって、私はむづかしいと思いました。しつもんもしましたが、何を質問したらいいかわからないこともありました。

これから改善したほうが良いと考える点。

時間が長い場合は、きゅうけいをいれる。大事な部分だけでもルビを入れてほしい。会議で説明のスピードが速すぎる。ゆっくり話すことが大切。重要な表現のところは色付けするとか、太字にしてわかりやすく、資料は当日でなく事前に送ってもらわないと支援者と打ち合わせができない。緊張するので会議の進行を配慮してほしい」

(たなかようこ・札幌みんなの会、みつますまさひさ・支援者)