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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年7月号

知り隊おしえ隊

富山ライトレールに乗って、いろんな所へ行ってみよう!!

森田知恵

自己紹介

私は、生まれつき両腕がなく、両足は短くて指が2本ずつしかありません。その2本の指を駆使して電動車いすに乗っています。普段は、授産施設で印刷業務をやっていて、休日には車いす対応の路線バスに乗ったり、ライトレールに乗ったりして出かけています。

今回は、富山市が全国に誇る路面電車「富山ライトレール」を中心に、富山のまちを紹介したいと思います。

みんなに優しいライトレール

路面電車は、道路混雑の緩和のほか、二酸化炭素や窒素化合物の削減などに効果がある環境に優しい、今の時代にピッタリの乗り物です。

平成18年4月29日に富山ライトレールは誕生しました。このライトレールは市民生活密着型で、市内観光地のほか、学校やスーパーにも停まり、市民の大切な通勤や通学の足になっています。

「富山駅北」を出発し、富山市の北部に向かって「岩瀬浜」までを、15分間隔で往復しています。

富山ライトレール路線図拡大図・テキスト

このライトレールには、「ポートラム」という愛称が付いています。広く市民から募集し、この名称が付けられました。「ポートラム」の由来は、ポート(港)とトラム(電車)を組み合わせたものだそうです。ライトレールができる以前はJR富山港線として電車が走っていたためです。

車両は低床になっているので、ホームとの段差がほとんどなく、出入口の階段もありません。高齢者や赤ちゃん連れにも優しいつくりになっています。車いすの人でも自分で操作できる人は、運転手さんの助けを借りずにスムーズに乗ることができます。運転席の後ろに車いすスペースが設置されていて、降車ボタンも大きなボタンで低い位置にあります。

運賃は中学生以上200円、子どもと障害者は100円です。さらに、ICカード(名称は「passca」(パスカ)と言います)で支払うと2割引になります。現金で支払う時は、運転手席横の入金箱に入れるのですが、passcaの専用台は車両の前と後ろにあるので、どちらかの台にかざしても支払うことができ、ラッシュ時はとても便利です。

市民に密着したサービス

車両は2車体連結で7台あります。車両の色はスノーホワイト(立山の雪を表現しているのだそうです)を基調に、7色(レッド・オレンジ・イエロー・イエローグリーン・グリーン・ブルー・パープル)のアクセントカラーがそれぞれの車両に施されています。ちなみに、赤の車両に乗ると恋愛が成就するという言い伝えがあります。赤い車両を見つけて乗ってみるのも楽しいですよ。

途中で他の電車との待ち合わせが3回あります。その時に、どんな色の車両が反対側に来るのか楽しみでもあります。

沿線周辺で夜に開かれるイベントやお祭りなどがある時は、運行時間を延長して夜中まで走ることがあります。

それぞれの駅の停車場では、壁面の企業広告が目をひきます。どれも素晴らしく、電車を待っている間、楽しむことができます。また、すべての駅にはイスとスロープが設けられています。

季節のイベント(お正月・バレンタインデー・クリスマスなど)がある時は、電車の内外が装飾されてにぎやかな車両になります。この時は電車の中では、季節にちなんだジャパニーズポップスや洋楽が流れます(普段は流れていません)。

最近では、富山のサッカーチーム「カターレ富山」がJ2で活躍していることもあり、選手やサポーターのメッセージがたくさん貼られた応援車両が走っています。

関連グッズも豊富にあり、一番人気があるのは、ライトレールチョロQです。7色全部揃っています。他にペーパークラフトやTシャツ、ネクタイなどがあり、お菓子まであります。「ライトレールもなか」と「ライトレールクランチ」は、2つともそれぞれに7つの味が楽しめます。

マスコットキャラクターの7匹のネコ(とれねこ)は、地元の高校生がデザインをしました。ライトレールのアクセントカラーを使った7匹のねこには、それぞれ名前も付いています。

電停のおすすめスポット

ここでいくつかの電停のおすすめスポットを紹介します。

まず、「富山駅北」です。駅から遠いのですが、富岩運河環水公園(ふがんうんがかんすいこうえん)という場所があり、水辺を散歩したり、芝生のスロープがあったり、中央には「天門橋(てんもんきょう)」という橋があります。橋の両端が展望台になっています。昼間は建物の下部から噴水が上がり、噴水のそばを歩くこともでき、老若男女が楽しめる場所になっています。夜は10時までライトアップされていて、デートにぴったりの場所です。地面はアスファルトになっているので、車いすでもスイスイ行くことができます。

次に「インテック本社前」です。「タワー111(トリプルワン)」とも呼ばれていて、高さ111メートルの建物で、いろいろな企業やホールが入居しています。

少し先に行くと「粟島(あわじま)」(大阪屋ショップ前)に着きます。とても安いスーパーで、店内にはいつもたくさんの人があふれています。周辺にはドラッグストアやファミリーレストランがあります。ここで多くのお客さんが降ります。ここは私の一番のお気に入りの電停です。この電停にはライトレールに乗る人専用の駐車場があります。アスファルトが青く塗られているのでわかりやすいです。

さらに電車は海へ向かい、「東岩瀬」駅へ、そして岩瀬の町へ出ます。ここには古い町並みが残っています。私は古い町並みが好きなので、晴れた日に散策してみました。銀行やおそば屋さん、どら焼き屋さんなどがあります。ただほとんどの建物はバリアフリーではありませんでした。でも木のにおいがすごく気持ちよかったです。

次は「競輪場前」です。私は競輪は見に行きませんが、ここで年に一度、クラシックカー(1960年代のものから)が集まるイベントや、フリーマーケットをやったりしてるので、その時だけ見に行きます。

そして、「岩瀬浜」が終点です。「岩瀬浜」駅の近くにある岩瀬カナル会館では、シーフード料理が楽しめます。晴れた日には、屋外に出て立山連峰を眺めながらの食事もいいですよ。ほかに岩瀬漁港や岩瀬浜海水浴場があります。岩瀬漁港では、シロエビやホタルイカなどが水揚げされます。岩瀬浜海水浴場では海水浴のほか、サーフィンや釣りが楽しめます。

以上、私が直接体験したり、聞いたりしたおすすめスポットを紹介しましたが、いかがでしょうか?

富山県は魚介類やお米や水がおいしいし、絶景スポットがたくさんあります。

お近くに来られた際にはぜひ寄ってみられー(富山弁です)。

(もりたちえ 高志授産ホーム)

参考文献

○ライトレールの紹介:富山ライトレールの誕生(鹿島出版会)

○おすすめスポット:ポートラムで行こう!おでかけガイドブック(富山ライトレール株式会社)