音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年1月号

こう変わるべき障害者施策
精神障害については精神障害当事者を中心にしてください。
所得補償を含めて十分な予算を付けてください!

関口明彦
全国「精神病」者集団運営委員

「私たちのことは私たち抜きに決めるな!」障害者権利条約(CRPD)以前から全世界の障害者団体が主張していることだ。

国際障害同盟(IDA)メンバーは、http://www.internationaldisabilityalliance.org/にあるように、11団体からなる。多障害にまたがるのは、RIとDPIがある。そのすべての団体の基準要件は、障害当事者が統治機構や総会の多数派であることや民主的に運営されることなどである。WNUSP(世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク)はIDAの正式メンバーで、CRPDの作成に大きな貢献をした。

WNUSPでは投票権のある正会員は原則ユーザー・サバイバーの全国組織。そこに一票を持つ全国「精神病」者集団は全会員が精神障害者だ。JDFが参加しているAPDF(アジア・太平洋障害フォーラム)はIDAのメンバーではないが、IDA―CRPDフォーラムには入っている。それに対してEDF(欧州障害フォーラム)がIDAの正式メンバーなのは、理事会、総会とも過半数が障害当事者だからだ。

我々、精神障害者はしばしば利益相反する家族を原則的にその団体に入れてないし、当事者のみで運営してきた。そこで必ず起きるデメリットは財政難である。障害特性により、精神障害者は知的障害者ほど稼得能力が無い場合も多い。親との関係は概して悪いので、同居して扶養されていても生活保護程度の可処分金もない。または入院させられても、生活保護の方が小遣いが多いというのもよく聞く話である。場合によっては 鳴門の殺人・遺棄事件のように親に「処分」される。父親の懲役12年、これは絶望的な精神科医療・福祉の貧困と親の無理解に由来するのは間違いない。被害者が必要な介助と支援を受けて自立生活していれば、グループホーム等で親元を離れていれば、問題はここでも財政と政策なのだ。

精神は身体・知的より大きく立ち遅れている。当事者にも、従事者にも予算をつけろというだけである。医療財政から福祉財政への転換が必要であり、5年以上の入院者の7割が死亡退院という実態を本気で変えなければならない。とりわけ、本人への退院準備金は必須だ。入院に自立支援医療の適用をというのは、自立支援法下でのこちらの言い分だ。ボランティアで動く当事者には所得補償を、団体には財政基盤確立のための援助をしてほしい。海外の一部では行われていることだ。

(せきぐちあきひこ)