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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年1月号

知り隊おしえ隊

2011年、東京のおすすめスポットは、ここだ!

今福義明

都内に住む人も都外に住む人も、今から紹介する私のお勧めは、なかには、「?」と思われる人もいるかと思いますが、電動車いすユーザーの自称「散歩の達人」として、これでもとっておきのスポットだと信じご披露し、ご紹介します。

第1は、昨年7月21日にオープンした東京都観光汽船の浅草営業所(船着き場)です。ここはバリアフリースロープで、ユニバーサルデザイン客船の「ヒミコ」に乗船して、お台場や豊洲まで隅田川を50分から80分かけてプチ船旅を楽しんでみられては…というものです。

浅草営業所には、多機能トイレもあり、バリアフリーな冷暖房付き大きなガラス展望待合室もあります。

また、ここへのアクセスは、東武伊勢崎線・東京メトロ銀座線・都営地下鉄浅草線の浅草駅で、いずれもエレベーターが整備されており、車いす使用者にはアクセス良好なところです。

もちろん、行き先のお台場と豊洲の船着き場もバリアフリーで多機能トイレありで、近接の駅も、エレベーター・多機能トイレ整備済みです。ユニバーサルデザイン客船の「ヒミコ」は、ご存知の方もおられるかと思いますが、「車いすスペース」座席3席、多機能トイレありで、大きな船窓から見る隅田川畔の景色も抜群です。

現在、建設中の新東京タワー「東京スカイツリー」やレインボーブリッジを橋下から見られます。とにかく一度は行ってほしい一押(いちお)しスポットです。

第2は、都内でまだ一部しか知られていないであろうローカルお勧めスポットとして、2009年7月17日運行開始の「飛鳥山公園モノレール」(東京都北区の飛鳥山公園にあるスロープカーで、公募愛称「あすかパークレール・車両名、アスカルゴ」と呼ばれています)です。

あすかパークレールは、北区が飛鳥山公園の公園入り口から飛鳥山山頂間のバリアフリー化整備として設置した昇降設備で、運賃は区外の者でもだれでも無料で、運転時間は午前10時から午後4時まで。レール延長わずか48メートル(傾斜角度24度!)16人乗り片道たったの2分、無人運転(押しボタン運転方式)で、バリアフリーで電動車いす・ベビーカーでも単独自力乗降可能です。運行中は管理人が常駐ですので安心です。

私はすでに何回も利用しています。エレベーターを利用するような気軽さの乗り物です。ぜひ、一度乗ってみてほしいです。

最寄り駅は、都電荒川線の電停王子駅前(スロープあり)です。現在、もっとも近接のJR京浜東北線の王子駅中央口改札口内に高架プラットホームへのエレベーターが工事中です。

飛鳥山山頂乗り場を出たところの花壇の美しいこと。飛鳥山3つの博物館(紙の博物館・北区飛鳥山博物館・渋沢史料館)もお勧めです。

第3は、高尾山ケーブルカー(車両愛称「あおば」と「もみじ」)で登る高尾山頂です。2008年3月25日に山頂高尾山駅にエレベーターが設置され、昨年行かれた車いす使用者の方の情報では、高尾登山電鉄ケーブルカー清滝駅と高尾山駅で、車いす使用客がケーブルカーに乗り降りしやすいように特別仕様の斜め出入り「ホーム渡り板」が配備されたようです。

これで、約1キロメートルの高低差271メートルという日本の鉄道における最急勾配の車窓を電動車いす使用者でも楽しめるようになりました。ケーブルカー車両から眺める6分間は、スリル満点です。ぜひ、実際に行かれて見られるのがお勧めです。

最寄り駅は、京王高尾線高尾山口駅(エレベーターあり)で、同駅からケーブルカー清滝駅まで数分で車いすでも行けます。いずれも多機能トイレがあります。沿道の高尾蕎麦の蕎麦屋さんがおいしそうないい匂いをいつも漂わせています。

第4は、意外にも、千代田区役所・立川市役所・青梅市役所・福生市役所です。「えっ!?役所のどこがお勧めスポットなの?」と思われるでしょうが、これらの庁舎は、最近新築されたもので、それぞれの建物が、それなりにユニバーサルデザインを考慮して造られており、実際に行ってみると、とても便利で利用しやすいところなのです。

千代田区役所は、東京メトロ半蔵門線・東西線・都営地下鉄新宿線の九段下駅(いずれもエレベーターあり)からすぐのところにあり、1階のフリースペースや福祉パン販売店や上階のレストラン・図書館がお勧めです。玄関口屋根下から千代田区乗合タクシー「風ぐるま」(全便リフト付き)が千代田区内各方面に出ています。

立川市役所は、立川バスまたは立川市コミュニティバス「くるりんバス」(全便ノンステップバス)でアクセスできます。屋上ミニ庭園やレストランがお勧めです。

福生市役所は、JR青梅線福生駅(エレベーターあり)から電動車いすで10分ほどのところです。見どころは、その建物の外観の奇抜性です。また、その曲線外観の屋外階上ベランダへ出ての気をつけての景色見物です。

青梅市役所は、JR青梅線東青梅駅(エレベーターあり)から電動車いすで5分ほどのところです。都営バスだと一つ目のバス停です。明るくのんびりした建物で、開放的なテラス席のあるレストランがお勧めです。

第5は、2010年10月21日、羽田空港に開業した「新国際線ターミナルビル」です。

変な見どころ紹介ですが、印象的なのは、多機能トイレの多さでした。すべてその仕様は手動扉でしたが、便房内の設備は良くできたものでした。バス・タクシーロータリーにも多機能トイレが複数あるほどでした。

そして大型(40人乗り)のエレベーターが標準で、車いす使用の空港利用客はとても移動がしやすくなっていました。飲食店フロアーの各レストランはいずれも店舗内段差等はありませんでした。ただ見送り等の展望デッキだけは、車いす使用者には、金網が視線視界を邪魔して飛び立つ飛行機を見送りづらくしていました。一般客には、金網無しの小窓空間が設けられているのですが、いずれも車いす使用者には高過ぎて見づらいと思われました。

東京モノレールと京浜急行で、「新国際線ターミナルビル」へよりバリアフリーでアクセスできるようになりました。両駅ともプラットホームからの転落をしないで済むホーム可動柵が整備されました。京浜急行線としては初のホーム可動柵整備でした。

「新国際線ターミナルビル」だけの利用より、このビルを利用・通過しての海外旅行へ実際に行ってみないと分からないのは、世界初のバリアフリー化整備事例と言われている「まったく段差の無いパッセンジャー・ボーディング・ブリッジ(PBB)」でした。ぜひ、今年は、「新国際線ターミナルビル」を利用して、海外旅行へ出かけたいものです。

みなさんもぜひ体験しに行かれてはいかがですか?

第6は、JR中央線八王子駅南口の再開発事業です。2010年11月20日から南口ペデストリアンデッキ(とちの木デッキ)およびバスロータリーが使用開始になりました。また、駅自由通路東側には大型電機店、保育所、飲食店等の地上6階、地下2階建ての駅ビルがオープンしました。

こういう駅前再開発のバリアフリー化整備は、車いす使用者等には、結構見どころが多いスポットなのではないかと思いご紹介しました。

前記のペデストリアンデッキは開放的で、のんびりと八王子駅を通る鉄道車両を眺めて旅情を楽しむのもよし、飲食店でおいしいものを食べるのもよし、お買い物するのもよし、という感じなのです。もちろん、多機能トイレもビルごとにありますし、公衆トイレにもありました。

以上、私自身が何度でも行ってみたくなる見どころのあるお勧めスポットをご紹介しました。現在、このほかにも東京では、ドンドン見どころのあるお勧めスポットが増えています。また、機会があれば、ドンドンご紹介できるようにお勧めスポットを探しにプチ旅に出かけておきます。みなさんもご紹介ください。

(いまふくよしあき DPI日本会議・交通問題担当)