We Love コミュニケーションの要望書

図 We Love コミュニケーションの要望書


すべての聴覚障害者に、情報アクセス・コミュニケーションの権利を保障する法制度の実現を求める要望書

内閣総理大臣様
衆議院議長様
参議院議長様

聴覚障害者制度改革推進中央本部

構成団体
財団法人 全日本ろうあ連盟
社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
社会福祉法人 全国盲ろう者協会
一般社団法人 全国手話通訳問題研究会
一般社団法人 日本手話通訳士協会
特定非営利活動法人 全国要約筆記問題研究会

私たち、聴覚障害者の自己選択・自己決定を基本とした真の社会参加を実現するために、すべての聴覚障害者に情報アクセス・コミュニケーションの権利を保障する法制度の実現を願い、以下のことを要望致します。

要望項目

1.手話を「言語」として定義することをはじめ、障害者基本法や障害者差別禁止法において「言語」、「コミュニケーション」、「情報」についての定義、権利規定を明記し、聴覚障害者の基本的人権として、社会のあらゆる場面で情報とコミュニケーションを保障する法整備をおこなってください。

2.法整備にあたっては、障害者の情報・コミュニケーション施策の基本となる「情報・コミュニケーション法(仮称)」を創設してください。

3.障害者自立支援法に代わる新しい「総合福祉法(仮称)」の制定において、障害の程度によらず、すべての聴覚障害者が必要とする福祉サービス、相談支援、当事者支援事業をコミュニケーションのバリアなく受けられる環境を整備してください。

要望趣旨

聴覚障害者は、音声の他に、手話や文字等による情報・コミュニケーションや、手話通訳、要約筆記、盲ろう者のための触手話・指点字等のコミュニケーション支援が必要です。しかし、まだまだ社会全体の理解と施策が不足しています。

現行の障害者自立支援法では、地域生活支援事業においてコミュニケーション支援事業が市町村の必須事業と位置づけられて実施されていますが、平成21年3月時点で、手話通訳者派遣事業が74.1%、手話通訳設置事業が27.6%、要約筆記者派遣事業が45.4%の実施率(厚生労働省調べ)にとどまっています。盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業も含めて、地方自治体の財政や考え方によって大きく左右され、派遣範囲や回数、広域派遣に制限を受けるなど、地域格差が大きくなっています。

コミュニケーション支援だけでは社会参加できません。情報アクセスの保障も必要です。列車が遅延したときの音声アナウンスを文字で表示すること、災害放送・政見放送・CMも含めて放送に手話・字幕を付けることなど、聞こえないことで情報を得られず不利な立場におかれることがないようにしなければなりません。聴覚障害者が社会生活のあらゆる場面で、手話・文字・触覚的手段により情報が保障され、さらに、直接、手話や筆談、触覚的コミュニケーションで日常会話ができることが当たり前になる社会づくりも必要です。

障害者権利条約では、第2条において手話や文字表示、触覚など、意思疎通のあらゆる形態、手段、様式をコミュニケーション(意思疎通)と定義しています。さらに、「言語とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語等をいう」と定義しました。そして、自ら選択するコミュニケーションにより、表現及び意見の自由についての権利を行使することができることを確保するためのすべての適当な措置をとる等、規定されています。

以上のことから、私たちは、聴覚障害者の自己選択・自己決定を基本とした真の社会参加を実現するために、すべての聴覚障害者に情報アクセス・コミュニケーションの権利を保障する法制度の実現を求めます。

We Love コミュニケーション