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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年5月号

霞ヶ関BOX

各府省庁における平成23年度障害者施策関係予算について

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付障害者施策担当

障害者施策においては、「障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会」の実現に向け、平成15年度から10年間の障害者施策の基本的方向を定めた「障害者基本計画」(平成14年12月閣議決定)及び同基本計画の後期5年間における障害者施策の着実な推進を図るための新たな「重点施策実施5か年計画」(平成19年12月障害者施策推進本部決定)に基づき、政府一体となって取り組んでいます。

平成23年度障害者施策関係予算においては、これらの計画に基づく諸施策の着実な推進を図るために必要な予算を計上しています。

障害者基本計画にある各分野ごとの予算の概要は次のとおりです。
(〔 〕内は22年度予算額です。)

■啓発・広報

137百万円〔106百万円〕

障害者に関する啓発・広報活動の推進等、バリアフリー・ユニバーサルデザイン施策の推進、高齢者・障害者に対する差別解消のための啓発活動を図るための経費を計上しています。

(主な事項)

○障がい者制度改革推進会議関連経費【新規】

○関係行政機関相互の緊密な連携を確保するとともに、今後の障害者施策全般の在り方を調査研究

○障害者基本法に基づく障害者週間など障害者施策に関する普及啓発

○中央障害者施策推進協議会経費

○障害者委員会(仮称)経費【新規】

○バリアフリー・ユニバーサルデザイン施策の推進

  • バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進・普及方策に関する調査研究
  • バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰 等

○高齢者・障害者に対する差別解消のための啓発活動

  • 特設人権相談所開設に伴う経費、訪問介護員との人権相談活動連携経費等

■生活支援

976,303百万円〔918,814百万円〕

良質な障害福祉サービスの確保、精神障害者の退院促進・地域定着の推進等のための経費を計上しています。

(主な事項)

○市民活動促進に必要な経費

  • NPO法の施行体制の整備、NPOの活動を促進するための環境整備

○経済的自立の支援

  • 傷病恩給の支給
  • 公的年金(障害基礎年金・障害厚生年金)の支給

○成年後見の登録・公証のための登記制度

○満期出所者等に対する社会復帰支援

○良質な障害福祉サービスの確保

  • 介護給付・訓練等給付費 等

○地域生活支援事業の着実な実施

○その他の障害保健福祉関係経費

  • 手当等の給付、障害児施設措置費、障害児施設給付費 等

○障害者虐待防止等に関する総合的施策の推進

○精神障害者の地域移行・地域定着支援の推進等

  • 精神障害者地域移行・地域定着事業
  • 精神障害者アウトリーチ推進事業 等

○発達障害者の地域支援体制の確立及び発達障害者への支援手法の開発等

  • 発達障害者支援体制整備事業
  • 発達障害者支援開発事業
  • 巡回支援専門員整備事業【新規】 等

○福祉機器の実用化開発支援

  • 高齢者や障害者の自立促進、介護者の負担軽減を図るため、優れた創意工夫ある福祉機器開発の実用化支援の実施

○福祉機器情報収集・分析・提供事業

■生活環境

500百万円〔2415百万円〕

旅客施設等のバリアフリー化の推進、防災対策の推進等のための経費を計上しています。

(主な事項)

○障害者に配意した警察活動の推進

  • 警察署等の新築時に際し、障害者の利用に配慮した身体障害者用便所を整備
  • 手話ができる職員を育成するための講習会を実施
  • 視覚障害者等の道路横断の安全を確保する交通安全施設等を整備等

○防災対策の推進

  • ユニバーサルデザインの観点を踏まえた消防用設備の開発・普及
  • 聴覚障がい者対応型の住宅用火災報知機の設置推進【新規】
  • 災害時等における要援護者への瞬時の文字情報伝達手段の開発【新規】

○高齢者・障害者に配慮した農林水産業関連施設等の整備

○鉄道駅、旅客船ターミナル、空港等旅客施設等のバリアフリー化の推進

  • 地域公共交通の確保・維持・改善の推進【新規】

○車両等のバリアフリー化の推進

  • 地域公共交通の確保・維持・改善の推進(再掲)【新規】

○ソフト面等におけるバリアフリー化の推進

  • バリアフリー新法に基づく総合的なバリアフリー化の推進

○障害者にやさしいまちづくりの推進

  • 幅の広い歩道等の整備等による歩行空間のバリアフリー化
  • 都市公園のバリアフリー化の推進 等

○障害者にやさしい住まいづくりの推進

  • 新たに整備される公営住宅等について、バリアフリー対応構造を標準仕様化
  • 障害者世帯向け公営住宅の供給 等

■教育・育成

114,707百万円〔114,626百万円〕

特別支援教育の充実や特別支援教育就学奨励費負担等のための経費を計上しています。

(主な事項)

○特別支援教育の充実等

  • 特別支援教育総合推進事業 
  • 民間組織・支援技術を活用した特別支援教育研究事業
  • 特別支援教育に関する教職員等の資質向上事業 
  • 教科用特定図書等普及推進事業 等

○特別支援教育就学奨励費負担等

  • 特別支援教育就学奨励費(教科用図書購入費、交通費、寄宿舎居住費 等)

○特別支援教育設備整備費等補助

  • 私立特別支援学校等の設備整備費補助(特別支援学校の整備、情報機器 等)

○義務教育費国庫負担金

○公立学校の施設整備(新増改築、改造)に対する国の負担等

○私立特別支援学校等の運営費補助

■雇用・就業

23,446百万円〔23,107百万円〕

障害者に対する就労支援の推進、公務部門における雇用・就労の促進及び支援、工賃倍増5か年計画支援事業の推進等のための経費を計上しています。

(主な事項)

○公務部門における雇用・就労の促進及び支援

  • 障害者の雇用の促進に係る啓発事業
  • 「チャレンジ雇用」の推進・拡大及び検証
  • 「チャレンジ雇用」の実施

○司法試験における目の見えない人の受験に必要な措置

○「工賃倍増5か年計画」の着実な推進

○障害者に対する就労支援の推進

  • 雇用、福祉、教育等の連携による地域の就労支援力の強化
  • 障害の特性に応じた支援策の充実・強化
  • 障害者の職業能力開発支援の強化 等

○農業法人等による円滑な障害者雇用の促進

■保健・医療

235,549百万円〔234,002百万円〕

障害者に対する良質かつ適切な医療の提供、精神科救急医療体制の強化等のための経費を計上しています。

(主な事項)

○医療刑務所等に、機能回復訓練に必要なリハビリテーション機器を整備

○「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「心神喪失者等医療観察法」という)の規定による精神保健観察等の実施

○障害者に対する良質かつ適切な医療の提供

  • 障害者医療費負担金

○心神喪失者等医療観察法の医療提供体制の充実・強化

  • 心神喪失者等医療観察法入院等決定者医療費 等

○精神科救急医療体制の整備の推進

  • 精神保健対策費補助金

○精神障害に対する国民の正しい理解の促進

  • 障害者保健福祉制度普及関係経費

○認知行動療法の普及の推進【新規】

○自殺総合対策大綱に基づく自殺対策の推進

■情報・コミュニケーション

5,897百万円〔3,488百万円〕

社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及、通信・放送による情報提供の充実等のための経費を計上しています。

(主な事項)

○障害者等への消費者情報提供(メールマガジン配信等)

○情報バリアフリー化の推進

  • 字幕番組・解説番組等の制作促進
  • 高齢者・チャレンジド向け通信・放送サービス充実研究開発助成
  • チャレンジド向け通信・放送役務の提供、開発等の推進
  • 情報バリアフリーの推進に関する調査研究【新規】

○社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及

  • ライフサポート型ロボット技術に関する研究開発
  • 脳の仕組みを生かしたイノベーション創成型研究開発【新規】
  • 電子投票の実施の促進

○地上デジタル放送への円滑な移行のための環境整備・支援(うち、「受信機器購入等の支援」及び「高齢者・障がい者等を中心としたきめ細かなサポートの実施」分)

○日本司法支援センターにおける障害者に対する情報提供の配慮措置(高齢者・障害者用パンフレットの作成)

■国際協力

3百万円〔3百万円〕

国連障害者基金への資金の拠出、国際協力のための経費を計上しています。

※障害者施策関係の額を特定化できないものについては、「-」と表示しています。


平成23年度障害者施策関係予算の概要(総括表)(単位:百万円)

施策名 平成22年度
予算額
平成23年度
予算額
対前年度
増△減額
障害者施策関係予算 総計注1 1,296,561 1,356,542 59,981
[啓発・広報] 106 137 31
障害者に関する啓発・広報活動の推進等(内閣府) 74 109 35
バリアフリー・ユニバーサルデザイン施策の推進(内閣府) 11 △4
高齢者・障害者に対する差別解消のための啓発活動(法務省) 21 21
[生活支援] 918,814 976,303 57,489
市民活動促進に必要な経費(内閣府)
経済的自立の支援(総務省・厚生労働省) 34,057 28,530 △5,527
成年後見登記事務処理(法務省) 492
〈492〉
436
〈0〉
△56
〈△492〉
満期出所者等に対する社会復帰支援(法務省) 344 336 △8
良質な障害福祉サービスの確保(厚生労働省) 571,922 634,152 62,230
地域生活支援事業の着実な実施(厚生労働省) 44,000 44,500 500
その他の障害保健福祉関係経費(厚生労働省) 265,505 265,805 300
障害者虐待防止等に関する総合的施策の推進(厚生労働省) 465
(465)
407 △58
精神障害者の地域移行・地域定着支援の推進等(厚生労働省) 1,678 1,373 △305
10 発達障害者の地域支援体制の確立及び発達障害者への支援手法の開発等(厚生労働省) 737 752 15
11 福祉機器の実用化開発支援(経済産業省) 65
12 福祉機器情報収集・分析・提供事業(経済産業省) 14 12 △2
[生活環境] 2,415 500 △1,915
障害者に配意した警察活動の推進(警察庁)
防災対策の推進(総務省) 16
(16)
386 370
高齢者・障害者に配慮した農林水産業関連施設等の整備(農林水産省)
旅客施設等のバリアフリー化の推進(国土交通省) 720
〈-〉

〈-〉

〈-〉
車両等のバリアフリー化の推進(国土交通省) 1,395
ソフト面等におけるバリアフリー化の推進(国土交通省) 51 44 △7
障害者にやさしいまちづくりの推進(国土交通省) 249 70 △179
障害者にやさしい住まいづくりの推進(国土交通省)
障害者等に配慮した海岸・河川等の整備の推進(国土交通省)
10 人にやさしい自然公園等施設整備の推進(環境省)
[教育・育成] 114,626 114,707 81
特別支援教育の充実等(文部科学省) 554 442 △112
特別支援教育就学奨励費負担等(文部科学省) 7,471 7,583 112
特別支援教育設備整備費等補助(文部科学省) △2
義務教育費国庫負担金(文部科学省) 101,264 101,315 51
公立学校施設整備(文部科学省)
私立高等学校等経常費助成費等補助(文部科学省) 4,147 4,255 108
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の整備運営等(文部科学省) 1,186 1,110 △76
[雇用・就業] 23,107 23,446 339
公務部門における雇用・就労の促進及び支援(全省庁) 373
(※)
682
(※)
309
司法試験における目の見えない人の受験に必要な措置(法務省)
工賃倍増5か年計画支援事業の推進等(厚生労働省) 791 502 △289
障害者に対する就労支援の推進(厚生労働省) 21,942 22,259 317
農業法人等による円滑な障害者就労の促進(農林水産省)
[保健・医療] 234,002 235,549 1,547
刑務所等に収容されている身体障害者等の機能回復訓練に必要な機器整備(法務省)
「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「心神喪失者等医療観察法」という)の規定による精神保健観察等の実施(法務省) 240 247
障害者に対する良質かつ適切な医療の提供(厚生労働省) 195,412 199,113 3,701
「心神喪失者等医療観察法」に係る医療提供体制の整備(厚生労働省) 23,525 20,804 △2,721
精神科救急医療体制の整備の推進(厚生労働省) 2,297 1,802 △495
精神障害に対する国民の正しい理解の促進(厚生労働省) 81 63 △18
認知行動療法の普及の推進(厚生労働省)【新規】 98 98
自殺総合対策の推進 12,446 13,421 975
[情報・コミュニケーション] 3,488 5,897 2,409
障害者等への消費者情報提供の促進(消費者庁)
情報バリアフリー化の推進(総務省) 541 509 △32
社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及(総務省) 775 1,484 709
地上デジタル放送への円滑な移行のための環境整備・支援(うち、「受信機器購入等の支援」及び「高齢者・障がい者等を中心としたきめ細かなサポートの実施」分)(総務省) 2,165
(*39,046)
3,904
(**5,679)
1,739
日本司法支援センターにおける障害者に対する情報提供の配慮措置(法務省)
視覚障害者に対する情報の提供(法務省) △7
[国際協力]
国連社会問題基金拠出金(うち国連障害者基金)(外務省)
(33,630ドル相当)

(29,206ドル相当)
国際協力(うち障害者関連)(外務省)

注1:「障害者施策関係予算 総計」については、障害者施策関係の額を特定化できるものについての合計額である。

注2:障害者施策関係の額を特定化できないものについては、「-」と表示している。

注3:〈 〉内の数字は特別会計の内数である。

注4:( )内の数字は再掲分である。

注5:(※)はチャレンジ雇用に係る経費として予算化されたものの合計額となっている。これ以外にも、通常の非常勤職員の人件費等で対応している省庁もある。

注6:(*)内の数字は平成22年度国庫債務負担行為限度額に係る平成23年度以降の歳出化額である。

注7:(**)内の数字は平成23年度国庫債務負担行為限度額に係る平成24年度以降の歳出化額である。

注8:本表では、百万円未満を四捨五入の上、百万単位で表記している。このため、本表上での積上額及び対前年度増△減額は、一致しない場合がある。

注9:国土交通省関係では、上記の他にも社会資本整備総合交付金17,539億円による施策がある。