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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年12月号

時代を読む26

国際アビリンピック運動の歴史と未来

本年9月、第8回国際アビリンピックが、韓国ソウル市において開催され、日本から参加した31人の選手は、アウェイの環境にもかかわらず、金メダル2、銀メダル4、銅メダル7、特別賞5という結果を残し、関係者一同、その大健闘を称えあいました

この国際アビリンピックは、30年前の1981(昭和56)年に日本(東京)で誕生しました。日本では、障害者の職業技能の向上により障害者の社会・経済活動への参加を促進することを目的として、1972(昭和47)年以来、旧身体障害者雇用促進協会(旧身障協会)の主催により、全国障害者技能競技大会(アビリンピック)が毎年開催されており、障害者雇用に対する社会の理解促進と障害者の雇用の拡大・安定に大きな役割を果たしていました。そのような状況の中、1979年の国際リハビリテーション協会(RI)主催の会議での日本の提案を契機として、当時のRI(アクトン事務総長)と旧身障協会(堀会長)との協議が行われ、RIとの共催の下、第1回国際アビリンピックが、1981年の「国際障害者年」を記念して東京で開催されたのです。

大会は、当時の皇太子殿下を名誉総裁にお迎えし、政府、民間、障害者団体等から幅広い支持を受けて運営され、56の国・地域から841人が参加し、家具、旋盤、洋裁、時計修理など、当時の労働市場等を踏まえた17の種目で、職業技能が競われるとともに、国際親善が図られました。

その後、コロンビア共和国(ボゴタ)、香港、オーストラリア(パース)、チェコ共和国(プラハ)、インド共和国(デリー)と、ほぼ4年ごとに各国で開催され、2007年の第7回は、再び、日本(静岡)において、大会史上初めて「技能五輪国際大会」と同時開催されました。同大会では、伝統的なものづくり系に、機械CAD、DTP等の情報処理系を加えた30の技能競技が実施されましたが、データベース(基礎)など知的障害を含む幅広い障害特性に対応した種目も加わりました。

国際アビリンピックは、リハビリテーションや職業技能の向上のみでなく、社会に対する大きな啓発効果を持つものであり、これからも、世界中の多くの国・地域に広がっていくことでしょう。

(川村徹宏 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用開発推進部長)