「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2012年11月号
工夫いろいろエンジョイライフ
実用編●リーチャーとマジックハンドはなくてはならない「手」、他●
提案者:林美智子 イラスト:はんだみちこ
林美智子(はやしみちこ)さん
リウマチになって20年近い62歳です。「不自由を常と思えば不足なし」「神は乗り越えられない試練は与えない」の言葉に励まされて、思うように使えない“手”のおかげで工夫する楽しみを覚えました。何をするにも時間はかかりますが、苦にすることが少なくなりました。
リーチャーとマジックハンドはなくてはならない「手」
出先から帰ると、玄関の椅子を引き、リーチャーとマジックハンドを手にして腰かけます。リーチャーでマジックテープのついている靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、ズボンも脱ぎます。スパッツ1枚になったところで、一息ついて、マジックハンドでまず靴を下駄箱に片づけて、靴下とズボンを椅子に乗せます。座ったままそれらを伸ばして整え、家の中に入ります。小さな玄関なのでできるのかもしれませんが、私にとっては2本ともなくてはならない手となっています。
マジックハンドは家の中でも大活躍で、ごみを拾ったり、物を挟んで引き寄せたりできますし、リーチャーは肩が上がらず肘も痛い時に、上に着ている物を肩からはずすのにとても具合がいいです。これを考案された方には、心から感謝しています。ほかにも使えて大助かりです。
杖代わりになるウォーキングバッグ
両手、両肘、両肩が痛くて、リュックも小さなバッグも持てなかった時、街の中で見かけた小さなキャリーバッグ。それがスワニー製のウォーキングバッグでした。それはとても小さな力で動き、体の脇に付けて押せる便利なものです。重心が中央にきているので、体を預けながら歩けます。最近は、介護用品としても売られているようです。
今使っているのは4個目で、A4ファイルも入る少し大きめのものですが、友の会や趣味の会に行く資料も楽に入りますし、また2泊くらいの旅行ならこれ1つで身軽に出かけられます。
雨の日の外出に傘はつきものですが、杖だと長い物を2本持ち歩くことになりますが、このウォーキングバッグにカバーをかけて杖代わりにすると、傘1本で出かけられるので、外出が楽しくなりました。また少しの買い物であればバッグに入れることができるので、大助かりです。
手先代わりの小さな自助具たち
手指の変形が激しく力が入らず、おまけに指紋もない(?)ので、物をつかむ、持つ、つまむ等手先を使うことができづらくなりました。
病気になったばかりの頃、駅員さんにペットボトルのふたを開けていただけますかとお願いしましたら、「こんな物も開けられないの?」と言われて以来、ずーっとオープナーを持ち歩くようにしています。
百円ショップは自助具の宝庫です。ペンチは持ち手が広がらないようにマスクのゴムを輪にして八の字にひっかけ、カップ麺や豆腐、バター等の中蓋開けに使っています。ゼムクリップはズボンのファスナーの先に付けて、洗濯ネットのファスナーにはマスクのゴムを輪にしたものを付けると引っ張りやすくなり便利です。野菜はロングスライサーで、果物は回転式の皮むき器で、芯は芯取り器で、また柑橘類はオレンジ皮引きを使い、カッターはハサミが使いづらい時やボタンホールの穴がきつい時にちょっと切り込みを入れて…、と数え上げたらきりがありません。