「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年11月号
当事者からの声
LD等の発達障害のある人たちの現況
(全国LD親の会・会員調査より)
内藤孝子
NPO法人全国LD親の会は、LD(学習障害)など発達障害のある子どもを持つ家族の会の全国組織で、39都道府県の47団体、約3,200人が参加している(2013年6月現在)。LD等の発達障害のある人の人権が守られ、生き生きと暮らすことのできる社会の実現を求めて活動している。弊会が行なっている会員調査から、LD等の発達障害のある人たちの障害認定の状況について報告する。
会員調査(2009年実施、18歳以上対象)では、67%の人が障害者手帳を取得している。そのうち療育手帳が75%、精神障害者保健福祉手帳が20%となっているが、療育手帳については、判定基準が各都道府県により異なっているため、地域差がある(知的水準が療育手帳に該当しなくても、発達障害の診断があれば療育手帳が交付される場合もある)。精神障害者保健福祉手帳については、年々取得の割合が増えてきている。
障害者手帳の取得年齢については、18歳未満での取得が50%、18歳以上での取得が49%でほぼ同じ比率であるが、精神障害者保健福祉手帳だけに限定すると、18歳以上での取得が90%に及んでいる状況である。障害基礎年金の受給者は約半数(20歳以上対象)であった。以上のように、成人してから障害認定を受けるケースも少なくない。
本年、会員(家族)や本人に対して、「何に困っているのか」「どんなサポートがほしいか」等の生の声を集めた。家族からは「障害者手帳を取得したが、本人のニーズにあった支援サービスがなく支援につながらない」「支援機関の理解がないので、困っていることが伝わらない」「家族で抱えていくには精神的負担が大きすぎる」「本人が障害を認めず、支援につながらない」という声が多くあった。
本人からは、「精神障害者保健福祉手帳を申請したが、取得するまでに時間がかかりすぎる」「障害基礎年金を昨年の12月から受け取れなくなった。軽度の人も安心して受給し続けられるような年金制度になってほしい。本当に健常と障害の間で振り回されている」「発達障害の障害者手帳を作ってもらいたい。現行の手帳では、なかなか僕らのことを理解してもらえない」「グループホームの家賃、利用料の補助が受けられない。障害者の家賃補助の基準を柔軟に対応してほしい」等の声があった。
LD等の発達障害のある人が困っている状況は多様である。障害者手帳の種別にとらわれることなく、一人ひとりのニーズに応じた福祉サービスが受けられるようになることを願っている。
(ないとうたかこ NPO法人全国LD親の会理事)