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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年1月号

新春メッセージ

障害者の権利条約締結

国連障害者の権利条約推進議員連盟会長 高村正彦(こうむらまさひこ)

「国連障害者の権利条約推進議員連盟」は、平成16年8月にニューヨークの国連で開催された、「障害者の権利条約に関する第4回特別委員会」に5人の国会議員が参加したことを契機とし、超党派の議員連盟を結成する機運が高まったことを受け、平成17年2月2日に正式に発足しました。

議員連盟は発足以降、政府関係者および日本障害フォーラム(JDF)をはじめとする障害者団体・関係者と連携し、条約交渉の会合前後に総会や勉強会、報告会等を開催してきました。これらによって、条約に関する理解を深め、政府代表団と意見交換を行い、また、国民の意見や要望が交渉の議論において反映されるよう、政府代表団に働きかけを行なってきました。

わが国の署名は、平成19年9月、当時外務大臣を務めておりました私が、ニューヨークの国連本部において行いました。その後、条約は平成20年5月に発効し、政府は、一旦は平成21年の締結を目指しました。その際、日本障害フォーラム(JDF)をはじめとする関係者から、条約締結の前に国内法制度の整備をさらに進めるべきとの御要望を受けたこと等を踏まえ、政府は、まずは国内施策の充実に努めてきました。

このような経緯を経て、平成23年の障害者基本法の改正をはじめ、重要な国内法の整備が集中的に行われ、平成24年の障害者総合支援法の制定、平成25年6月の障害者差別解消法の制定、障害者雇用促進法の改正をもって、一(ひと)とおりの整備がなされたものと判断し、条約の締結の手続を前に進めることとしたものです。

国会においては、衆議院では外務委員会における2回の審議を経て11月19日に本会議で可決され、参議院では外務防衛委員会による参考人質疑と審議を経て、12月4日に本会議で可決されました。審議においては、障害当事者はじめ大勢の方々が傍聴に来られました。全国の障害当事者、障害者団体の方々の声、想いの結実として、今国会において条約の締結承認が実現したものと考えます。

条約の締結に向けた議論の中で、多くの障害当事者、関係者の方から、締結はゴールではなく、スタートである、とのお声を頂きました。国連障害者の権利条約推進議員連盟としても、今後、障害者の権利の実現に向けたわが国の取組が一層強化されるよう、最大限の努力をしていきたいと思います。