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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年8月号

選手・関係者からの声

2020年東京パラリンピックに望む姿

山崎福太郎

私は今年3月、ロシア・ソチで開催された冬季パラリンピックに多くの皆様からのご声援・ご支援をいただき出場させていただくことができました。今回のソチパラリンピックでは初めて開会式が地上波放送で、開催された試合もすべて衛星放送にて中継されたので、日本から応援していただいた皆様も多かったのではないかと思います。

このように日本でパラリンピックに注目が集まりはじめた大きな要因は、2020年に開催が決まった東京オリンピック・パラリンピックだと考えています。2020年大会に向けて気運が高まってきている中でソチ大会に出場させていただき、私が感じたことの一つは「障害者スポーツに対する意識の差」でした。

パラリンピックは、1948年に負傷兵士のリハビリテーションの一環として始まったと言われています。その時から年月は経ち、今日のパラリンピックではオリンピックとまではいきませんが競技レベルも上がり、競技者の意識は一選手として競技に取り組むようになってきています。そのことを私はソチの地で日本選手はもちろん、海外選手と交流する中で強く感じてきました。また、周りの皆様から応援をいただく中で「障害があるのに頑張っていてすごいね」とお声掛けしていただくことが何回かあり、その時に私は競技者とその周囲との間にある障害者スポーツへの意識の差を感じたのです。

どうしても障害という側面が目立ってしまうため仕方ない点もあると思いますが、私たちはスポーツをすることが楽しくて面白いと思っているからこそ努力を積み重ねることができます。これは、障害の有無に関係なく、スポーツを愛する人なら共通で言えることではないのでしょうか。障害があるから頑張るのではなく、障害があっても頑張れる・楽しめる魅力があるのがスポーツだと私は考えています。

2020東京パラリンピックでは、今までかつて無いほどの注目が障害者スポーツに向けられることになるでしょう。その時に障害があったとしてもスポーツで一人ひとりが輝く場があること、そして、障害者スポーツの最高峰の舞台パラリンピックでは、オリンピックとはまた違ったもう一つのドラマが繰り広げられていることをより多くの方々に知っていただき、障害者スポーツとは?パラリンピックとは?と考えてもらえる機会になれば一番ではないかと考えます。そして、障害があろうとなかろうと誰もがスポーツを楽しめる社会により一層変化していくためのきっかけになれば、と思います。

(やまざきふくたろう 信州大学教育学部4年)