音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年1月号

新春メッセージ

障害者差別解消法への期待

国連障害者の権利条約推進議員連盟会長 高村正彦(こうむらまさひこ)

明けましておめでとうございます。

関係者の皆様には良き新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。

本年は、国連の障害者権利条約が、2006年に国連総会で採択されてから10年目を迎える記念すべき年です。私自身も、外務大臣として、2007年に国連本部で本条約に署名したことが懐かしく思い出されます。

日本は、条約署名後、国内の関係者の方々のご意見を踏まえつつ、「障害者基本法」の改正、「障害者総合支援法」の成立、「障害者差別解消法」の成立と「障害者雇用促進法」の改正等の国内制度改革を実施し、2014年1月に晴れて条約を締結いたしました。国連障害者の権利条約推進議員連盟の会長として、障害当事者をはじめとする関係者の条約締結に向けたご努力に改めて敬意を表します。

また、2020年には、東京パラリンピックという一大イベントも開催されます。障害者の参画する包摂的な社会の実現の機運は、今、まさに高まっており、そのような中で、条約締約国として、日本が、障害者に関する国内的取組を今後一層強化していく必要性を痛感しています。

条約の締結に先立つ国内法整備の一環として党派を超えた協力により2013年に成立した「障害者差別解消法」は、いよいよ2016年4月の施行まで残り3か月となりました。「障害者差別解消法」は、2011年の「障害者基本法」の改正の際、条約の差別の禁止に係る規定の趣旨を踏まえ、基本原則として規定した「差別の禁止」を具体化する重要な法律です。

法の施行に向けて、政府でも、基本方針に続き、各府省庁において法に基づく職員向けの対応要領や事業分野ごとの対応指針の作成が行われるとともに、障害者差別解消支援地域協議会の設置を促進するために、地方公共団体と連携して、モデル会議の開催、地方公共団体へのアドバイザーの派遣、法の周知・啓発のために、各地での地域フォーラムの開催などの取組が行われていると承知しております。

我々、国連障害者の権利条約推進議員連盟としても、この条約に基づく取組を通じ、日本において障害者の方々の権利及び尊厳が守られ、一層促進されるよう、取り組んでいく考えです。このため、法施行後も見据えて、「障害者差別解消法」の施行に向けた政府の取組を注視しつつ、障害当事者や関係者の方々とも協力して議論を重ね、しっかりと対応してまいります。

わが国における障害者権利条約の実施の歴史は、まだ始まったばかりであり、条約の締結は、決してゴールではなく、スタートであると考えています。今後も、より一層の障害者の方々の権利の促進に向け、議員連盟の立場から、条約の着実な実施をしっかり後押ししていく所存です。