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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2018年3月号

手話言語に関するサイドイベント開催、そして当事者が参加できる社会へ
~アジア太平洋障害者の十年後半の活動~

嶋本恭規

2017年11月27日~12月1日に中国・北京においてESCAP主催、ESCAPアジア太平洋障害者十年中間年評価に関するハイレベル政府間会合(HLIGM)が開催されました。

11月27日にサイドイベントとして、世界ろう連盟アジア地域事務局(WFDRSA)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、日本財団が合同して「言語関連:インクルーシブ開発の中核要素としての手話言語及び言語権」を開催しました。

アジア太平洋地域の各国政府に対して“手話は言語である”ことをアピールすることがねらいです。

パネルディスカッション方式で日本からは全日本ろうあ連盟理事長、石野富志三郎氏より日本手話言語の法的認知を促進するための取り組みを報告。韓国からは韓国ろう協会のMr. Im Sung Taekが手話言語法制定までの取り組み経過と今後の課題について報告。ニュージーランドはMs. Sonia Pivacが手話言語法制定までの経過とニュージーランドろう者の言語権及びニュージーランド手話言語の現状についてビデオメッセージで報告しました。

UNESCOコミュニケーション&情報部門知識社会局のMs. Irmgarda Kasinskaite-Buddebergからは、世界中の危機言語を話す人々の状況について実例を交ぜた興味深い内容の報告がありました。

最後に日本財団の石井靖乃氏よりアジア太平洋地域の手話言語に関する支援プロジェクトを紹介。このプロジェクトの一つである、アジア太平洋手話言語学研究・研修プログラムについて香港中文大学手話言語学ろう者学センターのGladus Tang教授が話をしました。約1時間の実施でしたが、約70人の参加者に耳を傾けていただきました。

また、HLIGMにおいてCSO共同声明に“手話通訳の完全なインクルージョン等、市民社会がワーキンググループ会合に参加する時の障壁を取り除くこと”の一文を盛り込み、各国政府にアピールすることができました。

まずはESCAP関連の会議に聴覚障害者が出席し、意見を聞いたり発言できるよう情報保障環境の整備を義務とし、“情報保障が当然である”ことが普及し、アジア太平洋各国の地において、会議だけでなく、仕事や生活、情報が溢れているメディア等、あらゆるシーンにおいて“情報保障”が当たり前の社会になっていくことを期待したいと思います。

(しまもとやすのり WFDアジア地域事務局長)