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若い医療NGO-AMDA(アジア医師連絡協議会)について

岩本 淳(AMDA日本本部 名誉顧問)

登録する文献の種類:
その他

情報の分野:
医学、保健学

主題:
若い医療NGO-AMDA(アジア医師連絡協議会)について

著者名・研究者名:
岩本 淳(AMDA日本本部 名誉顧問)

掲載雑誌名:
JANNET NEWS LETTER

発行者・出版社:
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

巻数および頁数:
第13巻  4頁-5頁

発行年月:
1997年4月

キーワード:
1.国際協力
2.途上国医療
3.民間団体(NGO)

要約:
21世紀を目前にして、日本の未来像が見えてこない。あまりの閉塞感から若者の眼に輝きがない。アジアをはじめ、旅行先で見た貧しいながら将来に希望を持つ若者を見ているだけに心配だ。まず途上国の人々と仲良くすること、NGOに日本の未来を託したいと思う。 

文献に関する問い合わせ先:
〒162 東京都新宿区戸山1-22-1
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
Phone: 03-5273-0601
Fax: 03-5273-1523

若い医療NGO-AMDA(アジア医師連絡協議会)について

岩本 淳(AMDA日本本部 名誉顧問)

 山口薫氏の紹介でJANNET総会に参加し、加盟団体リストに医療面の先輩団体多数を見て驚いた。21世紀を目前にして、日本の未来像が見えてこない。あまりの閉塞感から若者の眼に輝きがない。アジアをはじめ、旅行先で見た貧しいながら将来に希望を持つ若者を見ているだけに心配だ。まず途上国の人々と仲良くすること、NGOに日本の未来を託したいと思う。
1960年から3年ハーバード大学に留学した。ほとんど全世界から留学生を集めて優しく育てる米国の懐の深さに脱帽。まず日本の実情を反省したい。
21年前に帝国ホテルで開業し、外国人旅行者はもちろん、当時は英語の通じるクリニックが少なく在京外国人も多く診療した。
1991年新聞紙上でAMDA(アジア医師連絡協議会)が新宿に一室を借り、現地語で無料相談を始めた記事を読み、入会した。1995年1月阪神大震災の活動がきっかけで、同会の名誉顧問となり平均年齢20~30歳という若い会員を大きく育てることを誓った。
実際に活動しはじめたのは1991年のこと、これまでの活動実績は以下の通りである。(1996年8月現在)

1)ヨーロッパ・中近東:イラン(クルド)、レバノン、旧ユーゴ、サハリンなど 7件
2)南アメリカ:メキシコ地域など 37件
3)アフリカ :ソマリヤ、ジプチ、モザンビーク、ルワンダなど 18件
4)アジア :多数 46件

 これを20名の医師、10名の看護婦などがこなしてきた。マンパワーの絶対不足が決定的だ。そのため、私がメキシコ、バングラデシュ(サイクロン)救援部隊長として出動した。
当面の目標は、

1)国際貢献大学
1995年7月、旧ユーゴ・クロアチア国境に展開する大難民センターの視察をした。日本の若い大学院生、OL、サラリーマン10名が、兵舎やテントなどで不自由な生活をおくる難民のため、保健・教育・住宅・職業訓練などの活動をしていた。その現場を訪ね、要望をきいた。無給から月数万で1日18時間働く人たちの姿に心うたれ、日本の若者も期待できると直感した。彼らのノウ・ハウを活かすために、国際貢献大学をつくろうと考えた。指導陣も学生と半分は外国人、語学は英語。3年毎に2ヶ月ぐらいの教育を受けさせ再赴任。学生のカリキュラムには現地での研修を重視する。7月帰国後直ちに代表と話し合い、岡山に候補地の優先順位をつけた。

2)多目的病院船
阪神大震災で陸路を遮断されたとき、海上からのアプローチが役だった。その意味で病院船建造は望まれる。ただし大災害もそう多発するものではない。平常時の利用こそ重要だ。「顔の見える」途上国援助援助として、この病院船でアジア諸国を対象に、車、へリコプターなども乗せ、寄港地から巡回診療を展開すればかなり広大な地域をカバーできる。病院船だから、診断、治療も高度の水準が期待できる。AMDAの各国支部と日本本部は計画立案・実行の責任をとる。但し、運搬、医療スタッフは防衛庁に委任。彼らは数ヶ月交代で活動してもらう。
日本の軍備増強を恐れるアジア諸国も、医療・保健で貢献すれば、タンカーなどの通行阻止も防げるであろう。医師としての私見を述べると、日本の医学教育が欧米志向でアジアの現実を知らない。
幸い平成9年度政府予算にこの多目的病院船の調査費が認められた。竣工はずっと先のこと、完成時に私が生きている保証もないが、前述のとおりAMDAの後輩がいるし、自衛隊病院はもとより、防衛医大OB連中の賛意を得ることができた。この案は絶対実現したい。
最後に加盟団体の各位に、専門性をもつNGOが団結して未来を築くことを提案したい。