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横浜ブータン王国友好協会の活動

田中 純一(横浜ブータン王国友好協会)

登録する文献の種類:
その他

情報の分野:
社会福祉、保健学

主題:
横浜ブータン王国友好協会の活動

著者名・研究者名:
田中 純一(横浜ブータン王国友好協会)

掲載雑誌名:
JANNET NEWS LETTER

発行者・出版社:
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

巻数および頁数:
第13巻 5頁

発行年月:
1997年4月

キーワード:
1.国際協力
2.ブータン王国
3.支援活動

要約:
横浜ブータン王国友好協会は会長宮澤保夫のブータン王国との個人的な交流、協力関係をさらに推し進め、組織的かつより永続的なものにするために1995年9月設立された。協会設立後まだ日も浅く活動の緒についたばかりであるが、これまで通信、福祉、衛生、教育分野を中心に活動してきた。
ここではこれまでの活動のうち、福祉衛生分野に関連した活動を2件紹介する。 

文献に関する問い合わせ先:
〒162 東京都新宿区戸山1-22-1
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
Phone: 03-5273-0601
Fax: 03-5273-1523

横浜ブータン王国友好協会の活動

田中 純一(横浜ブータン王国友好協会)

 横浜ブータン王国友好協会は会長宮澤保夫のブータン王国との個人的な交流、協力関係をさらに推し進め、組織的かつより永続的なものにするために1995年9月設立された。ブータン王国は南北を中国とインドに挟まれた、ヒマラヤ山脈の麓に位置する九州ほどの面積を有する小国である。長年鎖国政策を採り続けていたため日本国内での認知度はまだ高いとはいえない。近年になって開放政策を採り始め、1971年に国連加盟を実現した。福祉分野は言うに及ばず、あらゆる分野で近代的社会基盤の整備は十分ではない。我々はアジアの一員としてブータン王国の情報を日本に広め、交流を深めるとともに社会的経済的発展に協力したいと考えている。協会設立後まだ日も浅く活動の緒についたばかりであるが、これまで通信、福祉、衛生、教育分野を中心に活動してきた。

 ここではこれまでの活動のうち、福祉衛生分野に関連した活動を2件紹介する。
1995年5月に会長がブータン王国を訪問した際に国王の叔母君であり、福祉に熱心なAshi Pema王女との会談の中で聴覚障害者に対する補聴器の援助要請があった。 補聴器があれば生活に支障のない軽度の聴覚障害者4名に対して、耳に入る小型の補聴器をいただけないかというものであった。ブータンではいわゆる自給自足的な生活をしている人々が多く、補聴器のような補助具を使用して生活している人は殆どいない。また実際に入手を試みても対インド交易が大半であるため補聴器のような精密機材の入手できる機会は非常に限られている。我々は王女と打ち合わせを重ね、このような状況の中、実際に補聴器の助けを必要とする人々に補聴器を用いた生活を体験していただくことを目的の一つとして、第1回目として4台の補聴器を寄贈することにした。我々は難聴度の違いを想定して、強度の異なるものを4種類、また交換用の電池の入手難も想定して交換用の電池も併せて手配した。9月には旧知の政府高官が来日したので、この政府高官にブータンへの輸送を託した。ブータン国内には高齢者、障害者を含めて補聴器を必要としている人の数は相当数に昇ることが推測される。補聴器の1台あたりの価格が高価であり、まとまった数量の援助は難しいが現地との連携をとりながら限られた 数量でより効果的な援助を探っていきたい。
衛生状態が不十分であった中学校には、女子寄宿舎を寄贈した。1995年2月に会長が訪問した際、視察したパロ(ブータン第2の都市で国際空港の所在地)の中学校の寄宿舎の衛生状態が悪いことに気が付いた。文部大臣と会談した際にこの話題に触れ、遠方から寄宿舎に滞在、通学している学生に清潔な生活環境を提供すべく、女子寄宿舎と便所設備の新築費用を寄贈することを約束した。5月に再度訪問した際に再び文部大臣と会談、女子寄宿舎と便所の建設費用約2万5,000ドルを文部大臣に手渡した。これを受けて寄宿舎の建設工事は直ちに進められ、冬休みが終わり、授業が再開する1996年3月には完成した。
またこれらの他、文化庁らを中心として進められている歴史的建造物の保存修復プロジェクトへ協力すべく検討、打ち合わせを行っている。
ブータンではいわゆる"近代的"な生活資本、社会資本の整備は遅れており、障害者の自立生活のための組織だった援助はまだまだこれからである。我々の力には限りもあり障害者の社会参加のための援助を系統だって行うことは難しいが、これからも機会のある度に社会福祉分野での支援活動を少しでも進めたいと考えている。