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青年海外協力隊帰国隊員に期待する

小林明子(国際CBR研究会)

登録する文献の種類:
その他

情報の分野:
社会福祉

主題:
青年海外協力隊帰国隊員に期待する

著者名・研究者名:
小林明子(国際CBR研究会)

掲載雑誌名:
JANNET NEWS LETTER

発行者・出版社:
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

巻数および頁数:
第14巻

発行年月:
1997年7月

キーワード:
1.国際協力
2.ボランティア
3.人材

要約:
 青年海外協力隊派遣事業は、日本のODAで行われている国際協力事業の中で、年々その数が増加し、途上国の期待も高まってきている。その一方、近年、青年海外協力隊帰国者が日本の社会福祉を支える人材として大いに期待できる側面も持ち合わせていることを感じている。

文献に関する問い合わせ先:
〒162 東京都新宿区戸山1-22-1
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
Phone: 03-5273-0601
Fax: 03-5273-1523

青年海外協力隊帰国隊員に期待する

小林明子(国際CBR研究会)

 青年海外協力隊派遣事業は、日本のODAで行われている国際協力事業の中で、年々その数が増加し、途上国の期待も高まってきている。その一方、近年、青年海外協力隊帰国者が日本の社会福祉を支える人材として大いに期待できる側面も持ち合わせていることを感じている。
青年海外協力隊員の中で、障害者の福祉にかかわる隊員派遣は、1976年から開始された。そして、「国連障害者の十年」や「アジア・太平洋障害者の十年」の影響を受け、その数は1990年代に入って急速に増加し、1996年末現在276人にもなっている。(帰国者と派遣者あわせて)具体的な職種としては、理学療法士、養護学校教論、施設指導員、針灸マッサージ師、義肢装具製作士などである。
帰国後、彼らは、専門性に国際性を付加して、日本の障害者や高齢者福祉を担う頼もしい人材として仕事をしている。一方、福祉と無関係の職種で青年海外協力隊員として活動した若者が、帰国後、大学で社会福祉を勉強するという現象が目立ち始めている。例えば、愛知県にある福祉大学では、5~6年前頃から、協力隊隊員経験者の入学がぽつぽつみられるようになった。以後、毎年、数名づつの入学があり、今では、大学内に協力隊のOB会のようなサークルができるほどである。そして彼らは、卒業後、日本の社会福祉の第一線で仕事をしている。
ある分野で特定の技術を持って協力隊に参加し、2年間の活動を通して、国際的な視野と語学力を身につけた若者が、帰国後、社会福祉への問題意識を持つようになり、社会福祉の勉強をして、日本の福祉を支える人材となる。なんと心強いことか。
福祉やリハビリテーションの専門家が海外で仕事をしたことで、より幅広い視野を持ち、また、これまで他職種の仕事をしていた人が、福祉やリハビリテーションを学ぶ機会を作り、新たに福祉の専門家の仲間入りをする。双方ともに大事なことである。どちらにせよ、国際協力のなせる技だということは間違いないであろう。国際協力活動のもつ、もう一つの意義がこんな点にあると思う。