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香港国際作業療法学会に参加して

土田 玲子(長崎大学医療技術短期大学部 作業療法学科)

登録する文献の種類:
その他

情報の分野:
その他

主題:
香港国際作業療法学会に参加して

著者名・研究者名:
土田 玲子(長崎大学医療技術短期大学部 作業療法学科)

掲載雑誌名:
JANNET NEWS LETTER

発行者・出版社:
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会

巻数および頁数:
第14巻

発行年月:
1997年7月

キーワード:
1.香港
2.作業療法
3.発達障害

要約:
 去る3月22日から5日間にわたって、香港国際貿易センターにて香港国際作業療法学会が開催された。5年前の第1回学会では香港で唯一の作業療法士養成校である香港ボリテクニック大学の講堂の一室を使っての学会であったが、今回は大ホールの他ポスターセッションや分科会も含め5つの小ホールが使われ、香港作業療法士(OT)の発展ぶりが伺われた。

文献に関する問い合わせ先:
〒162 東京都新宿区戸山1-22-1
財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
Phone: 03-5273-0601
Fax: 03-5273-1523

香港国際作業療法学会に参加して

土田 玲子(長崎大学医療技術短期大学部 作業療法学科) 

 去る3月22日から5日間にわたって、香港国際貿易センターにて香港国際作業療法学会が開催された。5年前の第1回学会では香港で唯一の作業療法士養成校である香港ポリテクニック大学の講堂の一室を使っての学会であったが、今回は大ホールの他ポスターセッションや分科会も含め5つの小ホールが使われ、香港作業療法士(OT)の発展ぶりが伺われた。現在の香港のOT数は約550名とのことだが、学会参加者はアジア近隣諸国のみならず遠くカナダ、アメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、イスラエル、イギリスなど17ヶ国に及び総勢300人ほどであった。国際都市香港らしく、ローカルな学会を国際学会に変え、世界中からセラピストを集めて最新の情報をいながらにして学んでしまおうとの発想らしい。いかにも香港らしい活力に満ちた学会であった。
私は発達障害の分科会に参加、発表も行ったが、討論の時間もたっぷり取られ、少人数で友好的な交流が行われた。香港では発達障害系のOTが300人と全体の過半数を占めることもあってか、その発表内容からも臨床レベルの高さが推察された。中でも興味深かったのは、小児一般病棟に病児のためのプレールームが開設され、そこでのOTの役割を報告した発表であった。子どもの遊ぶ権利(Play rights)を保証しようとする試みで、術前、術後や入院による病院の不安感を遊びによって評価、サポートしようとするものである。この発表にはヨーロッパ、アメリカのOTからも反響が多くあった。医療保険にしばられて仕事をしているOTには、したくてもできない仕事の一つである。まだポリオも克服できないという中国への返還を間近にひかえ、香港のOT臨床は、OTの過去から未来への道を一度に見せてくれるものになりそうである。これからの私たちの仕事の広がりと方向性を考えさせてくれた学会であった。