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JANNET5周年目を迎えて

障害分野NGO連絡会会長 山口 薫

 「アジア太平洋障害者の十年」の始まった1993年12月に設立された「障害分野NGO連絡会(JANNET)は、今年5年目を迎えようとしている。

 「アジア太平洋地域を中心に障害分野の国際協力交流事業を推進するための民間関係団体間の情報交換および協力・連携の強化、推進等を図るとともに海外の関係国際団体等との情報交換および経験の推進を図ること」を目的に設立されたJANNETは、「アジア太平洋障害者の十年」中間年を過ぎたこの5年間に、会員数も32団体(賛助会員、個人会員を含む)に増え、研究会、日英のニュースレターの刊行等の事業も順調に発展してきた。

 しかしながら、1992年北京で開催されたESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)総会で「アジア太平洋障害者の十年」が決議されたときの「取り組みが遅れている途上国を支援するための地域内協力の強化」という目的に沿って設立されたJANNETの設立当初の主旨に立ち返って現状を見ると、残された課題はまだまだ多いように思う。

 すなわち、設立準備の段階で話し合った目的のうち、①関係団体の情報交換と連携の強化と広報については、今後会員を増やすという課題は残されているが、まずは初期の目的を達成しつつあるといってよい。しかし②人材の養成および啓発活動の推進、③共同プロジェクトの実施、④人材および情報等を共有化するための仕組みづくり(例:協力バンクの設置)等については、啓発活動以外まだほとんど手がつけられていない。

 今後、特に途上国支援という観点に立ってこれらの残された課題達成に全力を挙げなければならないが、「経済大国」といわれた日本の経済も今大きく傾きつつある。アジアなどから渡航費や物価の高い日本での滞在費を負担して研修生を招くより、こちらから積極的に出かけて人材養成に当たるなど、これからは、なるべく金をかけないで戦後日本が蓄積した障害者の福祉と教育のノウハウを活用して途上国支援する道を探さなければならないが、そのためにJANNETは何をなすべきかを考えることが「アジア太平洋障害者の十年」の後半の重要課題であろう。


出典
”JANNET NEWS LETTER” Vol.4 No.4 (通巻16号)

発行者
障害分野NGO連絡会(JANNET)

発行年月
1998年1月

文献に関する問合せ先
(財)日本障害者リハビリテーション協会
162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
Tel 03-5273-0601  Fax 03-5273-1523