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アジア・太平洋地域におけるクリストッフェル

視覚障害者援護会(CBM)の活動

CBM東南アジア地域代表 マイケル・デイヴィス
訳:星野 侃司

CBMは無宗派のキリスト教国際民間組織で、本部はドイツにある。CBMは視覚その他の障害予防を目的とし、全世界の貧困な地域のこれら障害者に教育やリハビリ・サービスを提供している。国籍、性別、年齢、宗教の如何を問わない。CBMの事業のほぼ半分は、視覚障害の予防や視覚障害をもつ人々へのサービスの分野である。この組織の信条は〝行動する信仰〟である。

主としてドイツ国内の民間の寄付により支援されているこの組織(CBM)は、約90年前にエルンスト・クリストッフェルにより創設され、四大陸、106か国で活動している。アジア・太平洋地域では480に及ぶ事業がCBMの技術援助か、直接の資金援助を受けており、その額は1997年では約2,800万ドイツ・マルク(18億2,000万円)にのぼる。

CBMの援助は視覚障害者への教育資材、病院設備、ワークショップ、農業設備、備品、車両、動力・水道システム、建設など多岐にわたっている。CBMは直接プロジェクトは実施しない。その代わりに、CBMは専ら当該諸国の現存する組織(多くは非政府組織であるが、政府代行機関である場合もある)への協力を通じて行う。約9,700人の該当国の専門家や支援職員の給料はCBMによって支払われ、または補助される。適当なその国の職員が見あたらない場合、CBMが地域の人々のために訓練計画を立てたり、CBM自身の専門家を選定した地域の関係機関に配属して、実務、訓練またはその両方に当たらせる。1997年時点では、140人のCBM専門家が発展途上国のパートナーとなる関係代行機関に派遣されており、その中には眼科医、看護婦、管理者、理学療法士、整形外科医、耳鼻咽喉科専門医、聴能士、特殊教育者、プロジェクト管理者、技能訓練専門家などが含まれている。

このほかにも、全員最高の経験を積んだ専門家からなるアドバイザー・ネットワークがあり、CBMの地域事務所やパートナー団体に定期的にアドバイスを与えている。アジア・太平洋地域では、CBMは四つの地域事務所をもっており、各々プロジェクト・パートナーの企画と管理に責任をもつ:①東南アジア太平洋地区(本部マニラ)-フィリピン、インドネシア、マレーシア、パプ アニューギニア、フィジー、トンガ、ヴァヌアツ、ソロモン島、ウエスタン・サモア、 ミクロネシア連邦②中央東アジア地区(本部バンコク)-タイ、中国、カンボディア、ラオス、ベトナム、 ミャンマー、モンゴル③北部南アジア(本部デリー)-北部インド、ネパール④南部南アジア(本部バンガロール)-南部インド、スリランカCBMによって支援されている事業のうちで、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)は、急速に戦略としての重要性を増しつつある。CBMのパートナーによる医療、非医療活動の接点は数を増しており、そのなかでCBRの果たす役割は極めて大きい。例えば白内障患者の発見、動機づけ、紹介および技術支援などである。


出典
”JANNET NEWS LETTER” Vol.4 No.4 (通巻16号)

発行者
障害分野NGO連絡会(JANNET)

発行年月
1998年1月

文献に関する問合せ先
(財)日本障害者リハビリテーション協会
162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
Tel 03-5273-0601  Fax 03-5273-1523