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義肢装具国際セミナー'98
「アジア・太平洋障害者の十年」
中間年記念事業


ISPO(国際義肢装具協会)会長 澤村 誠志


義肢装具は、身体に障害のある人にとって、体の一部として社会参加の可能性を左右する重要な役割を持っている。アジアにおける義肢装具を必要とする人々は、2,000万人とされている。このうち、義肢を必要とする切断者は500万人、装具を必要をする脊髄性小児麻痺も21世紀までに新たに200万人が発生するとされている。この極めて大きな義肢装具のニーズに対して、多くの低所得国では、義肢装具に関する国際的な情報が極めて不足しており、義肢装具製作技術者の教育システムを持たず、義肢製作材料や部分品の入手に苦慮しているのが現状である。
この現状を打開するために,ISPO(国際義肢装具協会)は、義肢装具に関する教育の標準化、低所得国への技術支援を目標に、WHOやICRC(赤十字国際委員会)、GTZ(ドイツ技術協力公社)などとの協力のなかで、低所得国における義肢装具製作技術者の教育水準カリキュラムを作成し、タンザニア、中国などの義肢装具教育機関の設立、援助に努力している。また、同時に、ISPOは「切断と義肢」「脳性小児麻痺に対する装具療法」「脊髄性小児麻痺に対する装具療法」「開発途上国における義肢装具サービスのあり方」などのコンセンサスカンファレンスを世界各国で開催している。
ISPOは、会長の在位中にホスト国で理事会を開催することがこれまでの慣例となっている。そこで、各国の義肢装具のエキスパートで構成されているISPO理事会を神戸で5日間開催した後、この理事に残っていただき、さらに、WHO、INTERBOR(国際義肢装具士協会)などの国際組織からも参加をいただき、1月29日~2月1日、千葉、幕張のホテルスプリングスでISPO教育セミナーを開催した。さらに、ISPO国際コンサルタントとして田澤英二氏とともに、この一年間にアジア諸国における義肢装具のネットワークを作るべく、各国のキーパーソンを 選出してきた。このセミナーの機会にこれらのキーパーソンに参加いただき、義肢装具のネットワークを作るために、今回のアジア義肢装具ワークショップを2月2日~4日、国立身体障害者リハビリテーションセンターで開催した。主催団体は、日本障害者リハビリテーション協会、日本義肢装具学会、ISPOであり、加倉井周一会長、田澤英二実行委員長のもとに開催された。ISPO義肢装具教育セミナーでは300名、アジア義肢装具ワークショップには100名の参加を得て、極めて有意義な歴史に残る事業となった。
今後、アジア諸国間の義肢装具に関するネットワークを通じて、情報の交換を行うとともに、2000年にはマレーシアで次回の会議を行うことに決定した。
最後に、厚生省ではこの企画をアジア・太平洋障害者の十年中間年事業の一つとしてお取り上げいただき、経済的なご支援をいただいたこと、また、初山泰弘国立身体障害者リハビリテーションセンター総長を初め、ご援助いただいた関係団体の皆様に心からお礼を申し上げたい。


出典
”JANNET NEWS LETTER” Vol.5 No.1 (通巻17号)

発行者

障害分野NGO連絡会(JANNET)

発行年月

1998年4月

文献に関する問合せ先

(財)日本障害者リハビリテーション協会
162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
Tel 03-5273-0601  Fax 03-5273-1523


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