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トピックス

長野パラリンピックを終えて

長野パラリンピック日本選手団団長/(財)日本身体障害者スポーツ協会常務理事 中島 武範

 長野パラリンピック冬季競技大会は、去る3月5日から14日までの10日間にわたる激戦を展開し、成功裡に無事終了した。この大会には、32か国から571人の選手と575人の役員が参加し、参加国、参加選手団ともに冬季パラリンピック史上最多のものとなった。
わが国からは、選手69人、役員71人の参加であったが、平成7年度から取り組んだ強化訓練の成果を存分に発揮し、金メダル12個を含む41個のメダルを獲得し、メダル数ではドイツに次いで2位の成績を残し、開催国として面目を保ち得たのは喜ばしい限りである。
長野大会の特徴は、第一に有料入場制であったにもかかわらず、開閉会式のチケットは完売し、各競技場にも多くの観客が集まったこと。当日券の発売もできないといった状況で、総観客数は15万1千人となり、障害者スポーツに対する関心が非常にもりあがった。さらに、報道関係者が1,718人と予想をはるかに超える数となり、連日熱戦の模様がテレビ、新聞等を通じて全国民に知らされたこと。特に、その報道のスタンスが完全に競技としての視点でとらえられたことは、今後の障害者スポーツを発展させるうえで、大きな力になるものと思われる。
アジア地域で初めて開催された冬季パラリンピックであったが、アジア地域からの参加は、わが国以外では、韓国及び初参加のキルギスタンの2か国のみであった。
IPC(国際パラリンピック委員会)参加国は、東アジア地区は21か国であり、夏季の大会にはほとんどの国が参加しているが、冬季大会となると、温暖な国が多いという地理的条件もさることながら、やはり最大の要因は、財政的な理由によるものと思われる。
たしかに、冬の競技は夏の競技と比較して、用具、服装、訓練費等に多大な経費を要し、この解決は容易でない。アジア地域の途上国からの参加を支援すべく、わが国として何らかの方策を考える時期に来ているのではないだろうか。

長野パラリンピック アルペン競技


出典”JANNET NEWS LETTER” Vol.5 No.2 (通巻18号)

発行者障害分野NGO連絡会(JANNET)

発行年月1998年7月

文献に関する問合せ先
(財)日本障害者リハビリテーション協会
162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
Tel 03-5273-0601  Fax 03-5273-1523

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