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「JANNET NEWS LETTER」
(January 2000 第24号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<海外便り>

国際NGOの活動について

日本障害者リハビリテーション協会 上野悦子

 以前にもスウェーデンのSHIAはJANNETニュースレターで紹介されたが昨年SHIAを訪問する機会を得たので報告する。
SHIA(Swedish Organization of Disabled International Aid Association:スウェーデン障害者国際援助協会)は, 1981年の国際障害者年に設立された、途上国の障害当事者団体に対する開発協力を行うNGOである。スウェーデン政府開発援助機関である、Sida(スウェーデン国際開発協力庁)から助成を受け、プロジェクトの申請、実施、評価を行っている。Sidaはフレーム団体と呼ばれる13のNGOを支援しているが、障害分野ではSHIAが唯一入っている。
1999年現在SHIAは、視覚、聴覚、肢体、腎臓病患者の会、盲ろう者団体など19の障害当事者団体で構成されている。(別表参照)SHIAとは、その目指すところであるSolidarity(連帯)、Humanity(人道主義)、International Aid(国際援助)を示している。Solidarityには、責任を平等に担うことも含まれ、途上国のカウンターパート団体との関係にもその考えが生かされているようだ。
1997年の機構改革で、それまで、基金を示すFoundationから協会のAssociationに変わり、加盟団体も広く呼びかけている。
援助を決めるプロセスは、SHIAの加盟団体からSHIAあてに2年分の援助要請を提出する。SHIAは援助要請を吟味しSidaに提出し、Sidaに代わって評価も行う。そして1年後に見直しが行われる。Sidaはロジェクト予算のうち90%を助成し、残りの10%は加盟団体が調達しなくてはならない。SHIA加盟の肢体不自由団体では、会費の一部を開発プログラムに使用している。
SHIAの活動は、アフリカ、アジア、中南米に広くわたり、SHIA会員団体から障害のある人が途上国にでかけ、プロジェクトのフォローアップや評価を行っている。スウェーデンの障害のある人が途上国にでかけるために必要な配慮は予算の中に含まれている。南アフリカではSHIA独自の開発プログラムもはじめた。SHIAは、プログラムの所有者は現地のカウンターパート団体であることを明確にし、ゆくゆくは現地の人だけで運営できるよう、徐徐に援助額を減らしている。
スウェーデンには30才までの青年の団体が約100存在し、障害分野でも約15あると言われている。青年団体は、関連する大人の団体の傘下にあるのではなく、平等な立場で政府に対して提案したり、個別の課題についての運動を実施している。その中で視覚障害青年団体はSHIAに加盟し、スリランカの盲学校の職業訓練プログラムに協力してきた。昨年の評価チームのリーダーを務めたのはその青年団体の役員でもある大学生であった。
SHIA加盟団体は資金を集め、スウェーデンの若い障害のある人が途上国に約1か月滞在するための奨学金を集め、1999年にはスリランカ、ネパール、南アフリカに1名ずつ送った。このようなプログラムは、障害分野の開発援助において次世代を担う人が確実に育つ仕組みになっていると言えよう。
SHIAのホームページ:
http://www.shia.se