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「JANNET NEWS LETTER」
(January 2000 第24号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<巻頭言>

2000年に期待する

日本点字図書館 田中徹二

 昨年暮、『平成10年度障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告』(いわゆる障害者白書)が閣議で了承された。今回の白書の副題は、「ノーマライゼーションの世界的展開」で、障害者施策に関する国際機関の活動や、わが国の国際貢献の状況をまとめている。
国や国が支援するNGOの活動を通じて、21世紀に向けて、わが国が障害者分野でどんな貢献ができるかを考えていこうというものである。ますます国際化していく時代にあって、それをテーマに選んだことは評価できる。しかし、その実態となると、果たしてどこまで実績があがっているのかは極めて疑問と言わざるをえない。
私の周辺でも、障害者団体や施設で英文のパンフレットを作成している所はあまり見かけない。ましてや国際協力、交流に積極的に取り組んでいる所はほとんどない。
あっても、それぞれが個別に取り組んでいて、スウェーデンのSHIA( スウェーデン障害者国際援助団体:途上国の障害当事者団体に対する開発援助を行う団体 )のようなまとまった力は発揮できない。障害当事者や関係者の意識が、まだそこまでに至っていないことも事実だが、その背景には、経済的な問題が大きく横たわっている。
毎年、開かれる郵政省の国際ボランティア貯金の集まりには、多くのNGOが顔を 見せる。組織的な協力事業を展開しているところから、個人レベルに近いところまで 減って、郵政省も苦しいやり繰りを迫られている。
一方、現在国際協力事業団(JICA)が、障害者分野でどんな協力事業を打ち出 さまざまだが、いずれもが活動資金を求めて集まるのである。そんな中、預金利子が せるかについて内部で検討しているJICAの国際協力総合研修所が、平成7年・8 年度にわたってまとめた障害者分野の国際協力のあり方に関する報告に基づく検討で ある。今年中には、その結果による方針が公表されることが期待されている。JICA の豊富な財源を活用した本格的な国際協力が、障害者分野でも2000年を期に始まる ことを、年頭にあたって祈念したいものである。