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「JANNET NEWS LETTER」
(April 2000 第25号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<トピック>

「アジア太平洋国際障害者の10年」の「行動課題」をみんなで評価してみよう

沖縄国際大学 岩田直子

 1999年11月29日から12月4日にかけて、「アジア太平洋国際障害者の10年」キャンペーン’99マレーシア会議が開催されました。沖縄県から始まったこのキャンペーン会議も今回で第7回目を迎えました。総勢726名の参加者のうち、海外からは16カ国236名が参加し、そのうち、日本人参加者は139名でした。
会議では、雇用、教育、自立生活、スポーツ、QOL、CBR、社会開発、ジェンダー 等々、様々な分野の調査発表や実践報告がありました。その他にも、障害害別意見交換会やワークショップで活発な議論が交わされたり、施設見学でマレーシアの障害者福祉を学んだりすることができ、収穫の多い会議となりました。
さて、皆さんは、「アジア太平洋国際障害者の10年」の取り組みの中核となっている「行動課題」をご存知でしょうか。この「行動課題」は、12分野(1.国内調整 2.法律 3.情報 4.国民の啓発 5.アクセシビリティとコミュニケーション 6.教育 7.訓練と雇用 8.障害原因 9.リハビリテーションサービス 10.福祉機器 11.自助組織 12.地域協力)から構成されていて、各国の取り組みの指標となっています。キャンペーン会議の目的のひとつもこの「行動課題」を実施促進することです。
この「行動課題」を使って自国の障害者福祉政策を評価するために、12分野を細分化した「72項目の年次別目標 (正式名称は『アジア太平洋国際障害者の10年の行動課題の実行のための目標と勧告』) 」があります。RNNとRIは、昨年、この「72項目の年次別目標」を使って、「行動計画」が各国でどれだけ達成されているのか調査を行いました。その調査結果はマレーシア会議でも発表され、多くの人達から関心が示されました。以下、その調査結果をお伝えしたいと思います。 
回答は、調査表を郵送した23カ国の加盟団体のうち、14カ国(インドネシア、オーストラリア、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ、中国、日本、ネパール、バングラデシュ、ベトナム、香港、マレーシア、モンゴル)からあり、各団体の役員が個人の意見を回答してくれました。調査結果によると、トータルの評価が高かった国は日本、オーストラリア、中国で、逆に低い評価だったのはネパールとバングラデシュでした。また、14カ国を平均したところ、12分野の中では3.情報と9.リハビリテーションサービス、11.自助組織の領域が高い評価だったのに対して、4.国民の啓発、5.アクセシビリティとコミュニケーションが低い評価でした。
さらに、72項目ひとつひとつを見てみると(14カ国平均)、「補助器具の関税を廃止する」項目や、「建築物の規則にアクセス要件を含める」、「障害者の自助組織の全国的フォーラムを設立する」は高い評価でしたが、「建築、都市計画、技術の専門家の訓練カリキュラムにバリアフリーを含める」、「「10年」を記念した記念切手の発行」等は低い評価でした。
今回の調査は始めての調査でしたし、また、時間的制約から加盟団体の役員が個人の意見を回答したもので、多くの人達の意見は反映されていません。また、12分野には各々女性障害者に関する項目があるのですが、評価対象が政府以外にも様々な団体(例えば女性団体や労働団体、自助グループ、UNICEFやUNESCO等々)になっていて評価が困難だったため、今回は評価しませんでした。その他にも改善点は多くあり、検討の必要がありそうです。
「アジア太平洋国際障害者の10年」の最終念まであと3年。当事者も含め、もっと多くの人々がこの「行動課題」を使って自分の国の達成状況を評価していき、「アジア太平洋国際障害者の10年」を成果あるものにしていくことが、今、必要ではないでしょうか。ぜひ、皆さんの活動にも取り入れてみませんか。