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海外便り

パラダイムの転換
政府指導型の社会開発路線から参加型の開発へ:
市民社会、NGOの役割とエンパワーメント

国連ESCWA(西アジア経済社会委員会) 長田こずえ

1.概要

最近国連他の国際機関でも日本でも、盛んに「エンパワーメント」とか「非政府組織(NGO)」とか あるいは「参加型の開発」とかが提唱されているが障害者の視点から考えてこういった最近の開発におけるパラダイムの転換はいったいどういった意味を持つのであろうか? 今回は、このレバノンでの市民社会とNGOの参加と(障害者自身の参加を含む)、障害者に対する具体的なサービスの提供の見地から“障害者と新しい参加型の開発の将来的な可能性”について考えてみたい。

レバノンの例は特殊な状況のもとでの開発モデルである。レバノンは1992年まで過去17年間内戦で、戦火の中で人々は生き延びてきた。もちろんこの間政府のあらゆる社会サービスは不十分であったし、それ以前にいったい誰が政府か、誰が軍隊なのかわからない状況が継続した。しかも今でも宗教を中心にして国はグループごとに別れながら共存している。レバノンの人々にとっては「主権国家」とか「政府のサービス事業」とかそのための税金とかいう考えはなじみの無い物である。したがって、このような社会ではいわゆるCIVIL SOCIETY(市民社会)の活動の場がすでに存在するのである。この国のNGOの活動というミクロな視点ではなくこの国自体に市民社会のリーダーシップと参加型社会開発の素養があると思う。このレバノンというユニークなケースをとうして考えてみたい