音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「JANNET NEWS LETTER」
(January 2001 第28号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<メンバーズプロジェクト>

アジアでの実質的な活動者へ贈られる岩橋武夫賞

日本ライトハウス  加藤俊和

 日本ライトハウスの国際協力事業は、現在では岩橋武夫賞とネパール眼科医療活動支援などに限られており、残念ながら十分ではない。ここでは、以前は世界盲人福祉協議会(WCWB)アジア地区委員会が主催し、WCWBが世界盲人連合(WBU)に発展的に解消してからは日本ライトハウス主管となった岩橋武夫賞について述べる。
WCWBで広く活動してきたライトハウス創業者の岩橋武夫はもとより、2代目岩橋英行、3代目岩橋明子の名は、WBUとなってからも世界的に知られており、2000年11月にオーストラリアで開催されたWBU総会において、岩橋英行とともに世界に貢献した功績を讃えて、WBUの会長・事務局長以外ではただ一人、岩橋明子にWBU名誉会員の称号が贈られている。


岩橋武夫賞の概要
アジアで活躍しておられる方々を表彰するこのプロジェクトは、国際的に権威ある視覚障害関係の賞として、高く位置づけられている。
岩橋武夫は、1922年に視覚障害福祉事業を創業し、1935年に世界で13番目のライトハウスとして認定されて以来、情報からリハビリテーションまで先駆的な幅広い活動を行ってきた。武夫は、親友であるヘレン・ケラー女史を2度にわたって日本に招き、日本の福祉、教育、そのほかに非常に大きな影響を与えたことは言うまでもない。そしてヘレン・ケラーは岩橋武夫に、「私はアフリカと南アメリカを、あなたはアジアを守って下さい」と期待していたが、武夫は1954年に病没した。翌年、ヘレン・ケラーは武夫の弔問のため日本を訪れている。
この岩橋武夫の功績を讃えて創設された岩橋武夫賞は、1975年からWCWBのアジア地区委員会が主催し、アジアを中心に貢献している方々への栄えある賞として海外に広く知られるようになった。WCWBが発展的に解消しWBUとなってからは、日本ライトハウスが主管して今日に至っている。
この賞の目的は、「盲人教育、訓練、リハビリテーション、プレイスメント、福祉事業運営、失明防止、その他盲人福祉に関するあらゆる分野で、その功績が特に優れていた者を選び、賞状並びに賞金を贈ることを目的とする。」とされている。これまでに受賞された方々は以下のとおりであるが、いずれも、それぞれの国・分野で、永年にわたって地道な努力を積み重ねて大きな成果をあげておられる方々ばかりであり、はなやかではないがいぶし銀のような価値のあるこの賞の意義はまさにそこにある。
受賞者の選定については、毎年、2、3月頃に選出が行われる。地味なこの賞の性格を反映して、授与に当たってはセレモニーがはなやかに行われるわけではなく、年度前半に開催される世界的な大会・総会などの場を利用して行われることもよくある。


これまでの受賞者
これまでに受賞された方々は次のとおりである。なお、それぞれの国名は国籍とは限らず、主として活躍されている国名である。
台湾の曽 文雄氏、マレーシアのKeshmahinder Sigh氏、インドのH. D. M. Desai氏、日本の岩橋英行氏、香港のLucy Ching女史、フィリピンのVictor J. Baltazar氏、パキスタンのFatima Shah氏、シンガポールのRon Chandran-Dudley氏、韓国の白 利典氏、日本の黒住 格氏、インドのSuresh C. Ahuja氏、香港のK. L. Stumpf氏、ネパールのLakshmi Narayan Prasad氏、オーストラリアのHarold Hugh Jeffrey氏、マレーシアのWinnie Swee-Wan Ng女史、インドのRajendra T. Vyas氏、バングラディシュの団体ABC、オーストラリアのDavid C. H. Blyth氏、ネパールのR. P. Pokhrel氏とY. M. Pradhan氏、スリランカのRene Peiris女史、香港のGrace Chan女史、中国の滕 佛民氏、マレーシアのWilliam G. Brohier氏、そしてタイのRobert C. Jackle氏である。