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「JANNET NEWS LETTER」
(January 2001 第28号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<図書紹介>

From Charity towards Inclusion: The Way Forward for Disability Support through Danish NGOs
開発途上国の障害団体へのデンマークNGOの支援活動に関する研究報告。

 これは、1998年DANIDA(ダニーダ:デンマーク政府開発援助機関)から委託されて国際開発パートナーが、デンマーク障害者団体協議会(DSI)の協力によりまとめたもの。1999年に出版された報告の要約版として2000年に発行された。デンマークでは1990年代初め以来2ヶ国間国際協力において障害団体がかかわることが増えてきた。その背景には他の北欧諸国の影響と、障害に関する考えが国際的に変化してきたことがある。それ以前は障害は特別に扱われ、慈善の対象であったが、障害者の権利を擁護し、社会に統合していく考えに変わってきた。このパラダイム変換にともない国際協力活動も変化してきた。DSIは29の会員団体のうち14が途上国での国際協力を実施している。この調査では、途上国の障害団体への協力を行うデンマークのNGOの活動状況を分析し、今後デンマークの政府開発援助で新たに実施するプロジェクトの優先順位を決める上で、基準設定のために使われることを目指している。内容は「援助活動の実状と課題」「今後戦略」「DANIDAへの提案」の3つの章から構成されている。「提案」の章は、今後の障害分野の支援の基準となりうる内容が13の項目に渡って記されている。例えば、国連機会均等化に関する標準規則(スタンダードルール)を国際協力を実施する枠組みとしてとらえていること。障害者団体の組織作りを強化することなど。また、どんな協力事業を優先的に考えたらいいか具体的に示されている。わずか10年間で蓄積されたデンマークの障害者団体の経験をデンマーク政府が評価し、今後の障害分野でのODAの方針策定に活かそうということからデンマークにおける政府とNGOとの柔軟な関係が窺える。
発行は2000年。発行者はデンマーク外務省、DANIDA。編集者はKirsten Lund Larsen 。

日本障害者リハビリテーション協会 上野悦子