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「JANNET NEWS LETTER」
(April 2001 第29号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<トピック>

WHO のリハビリテーション概念:「WHO リハビリテーション・サービス改善のための 戦略に関する国際ワークショップ-アジアの経験から学ぶ」 報告

ADI 中西由起子

 カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの代表者を集めて、カンボジア・プノンペンで1月24-27日、リハビリテーションの実践例に基づいてASEAN諸国がWHOへの「リハビリテーション・サービス改善のための障害とリハビリテーション戦略」改定案への提言を行う会議が開かれた。
29人の参加者の中には自国のDPI(障害当事者インターナショナル)を代表する障害者がいた。基本的概念として強調されたのは「障害者の機会均等化に関する基準規則」特に2、3、4、14、15、19であった。私は基準規則報告者べンクト氏の代理として出席した。
リハビリテーションの中心課題として討議されたCBRにおいても、当然のこととして保健省や社会省を代表する各国の参加者たちは、サービスの各レベルにおける障害者の参加の必要性を口にした。しかしそれが現実の場では、まだ障害者が力不足である、障害者団体が存在しない、等の理由で実行されてこなかった。WHOのマニュアルに忠実にCBRを実行してきたベトナムでも未だ、CBRの実績は何人の障害者が医療や訓練、義肢装具を受けられたかであり、障害者サービスの受け手として見なすのみであった。そらんじる程WHOのマニュアルに精通しているミャンマーの役人にとっては、障害者の参加は取りかからねばならないがまだその時期に達していない課題であった。
参加者の多くは障害やリハビリテーションの優先順位が低下してきた最近の傾向を懸念していた。国連本部やILOにおいても然りである。WHOでも障害とリハビリテーション・チーム・コーディネーターのププリン氏の引退後はどうなるか分からないという。
問題はリハビリテーションという医療モデルではなく、自立生活という社会モデルの追求であり、WHOが「障害とリハビリテーション戦略」改定案において模索しているのも、その延長上にある。会議からも明らかなように、アジアでの障害者の機会の均等化は知識としては受け入れられるようにはなった。今後は当事者のもつ役割をさらに明確化し、当事者なしでは政策がすすめられないことが自明となってくるであろう。
(会議の詳細な報告は
http://www.din.or.jp/~yukin/WHOREHA.html
に掲載されています)