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「JANNET NEWS LETTER」
(July 2001 第30号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<巻頭言>

先ず「隗(かい)よりはじめよ」―アジア障害者の支援に立ち上がる

社会福祉法人 沖縄コロニー理事長 山城 永盛

国際NGO沖縄会議の響き
‘93年の国連・「アジア太平洋障害者の十年」のスタートにあたり、障害者の社会参加に関する「国際NGO沖縄会議」が同年10月、開催された。
初めて開かれたこの会議は、各面から参加者に大きな感動を呼び起こした。各国代表のそれぞれ抱えている問題はじめ、政策提言等々、目を見張るものばかりであった。
特に、NGO(非政府組織)代表の生々しい、切実な現状報告は、それぞれの国の貧困な実情を浮き彫りにして余りあるものがあった。今まで、国内で開かれた障害分野のこの種の会議では味わうことのできない強烈かつ、鮮烈なまでの響きがあった。


SARVPへの支援
沖縄・アジア障害者を支援する会は、その会議の成果を踏まえ、’95年6月、バングラデシュ障害者を支援する会を結成した。そして、カウンターパートのSARPV(バングラデシュ障害者リハビリテーション協会)の支援を開始した。世界の最貧困国といわれたこの国の現状から、障害者の「自立生活」は至難の業であった。
そのための、’97年までに500万円の支援金で「沖縄バングラデシュ技術開発センター」を開設した。このセンターは、この国ならではのより効率的かつ、即効性のあるコンピューター等の訓練科目を設置し、自立生活へ大きな効果を上げつつある。


平等互恵の精神を共有
ひと先ず目標としていたSARVPの支援を終えたので’99年4月、現在の名称に変更した。’90年からラオスの女性障害者、低所得者の自立生活に立ち上がり、劣悪なこの国の社会事情の中で呻吟している「ラオス障害者女性縫製グループ」を、’99年度から支援することになった。
当法人は’97年から、JICAの委託を受け途上国から3ヶ月間、特にNGOのリーダーを中心とした「障害者自立支援」の技術コースを継続している。カウンターパートの同グループは毎回、このコースに参加し実績を積み重ねてきている。
‘01年度、JICAの小規模開発パートナー事業が採択され、同グループの「ラオス障害者女性開発センター」の建設が、ラオス労働社会福祉省の協力を得て6月から開始された。立ち遅れているこの国の女性障害者、低所得者の「自立生活」への第一歩を踏み出すことになった。
このような小さなNGOの活動ではあるが、「平等互恵の精神」を共有し、支援先の国情に照らした支援の在り方を、常に模索しているところである。先ず「隗(かい)」より始めようである。