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「JANNET NEWS LETTER」
(July 2001 第30号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<トピック>

海外 被災障害者支援活動について

NPO法人 ゆめ風十億円基金事務局 橘高千秋

 「ゆめ風十億円基金」は阪神淡路大震災を契機に、災害で被害を受けた障害者を長く支援すると共に、大災害が起きたとき、すぐに救援金を届け、被災地での救援活動がサポートできるよう救援基金を設けようと、1995年に発足した障害者団体(2001年1月にNPO法人格取得)である。
これまで国内では、阪神淡路大震災をはじめとして、自然災害で被害を受けた障害者作業所などの地域拠点や救援活動に対して総額655万円の救援金を届けたほか、復興支援の一環として、被災拠点に対し総額8000万円の無利子貸付も行っている。
海外の災害については、99年のトルコ地震に始まり、同年台湾地震、01年のエルサルバドル地震で被災した障害者NGO団体に対して総額550万円の救援金を届けた。
今年1月13日に起きたエルサルバドル地震の際は、障害者インターナショナル日本支部を通じて現地の被災障害者作業所アコヒプリと連絡がとれ、電子メールでの情報交換の後、120万円の救援金を送った(うち10万円は神戸のNPO被災地障害者センターが支出)。
アコヒプリ作業所は身体、聴覚、精神、知的障害者40人が陶芸を中心とする活動を行い、陶製品の輸出などの自主事業で運営費を捻出してきた。地震で作業所建物や居宅に大きな被害を受けたが、政府の援助はない。

アコヒプリ作業所の仲間達(エルサルバドル

(写真=アコヒプリ作業所の仲間達 エルサルバドル)


続いて1月26日に起きたインド地震では、被災地グジャラート州の障害者団体BPA(BLIND PEOPLE’S ASSOCIATION)とコンタクトがとれた。現在、現地滞在の被災地NGO恊働センター(神戸)のコーディネーターを介して協議を重ね、支援方法を検討している。近く救援金を届ける予定だ。
99年の台湾地震の時は独自に調査団を派遣し、被災した障害者6団体に対し被災地障害者センターと協同で計220万円の救援金を直接届けた。そのご縁で昨年、神戸に台湾の被災障害者9人をお招きし、国際シンポジウム「災害と障害者-その時障害者は-」を開催した(シンポジウムの報告書-無料-のお申込は「ゆめ風十億円基金事務局」へ、FAX:06-6320-6068またはE-メール:yumekaze@mba.nifty.ne.jp にて)。
日本と諸外国とは制度も状況も異なるが、災害時、障害者がどのような状況におかれるのかは、想像に難くない。混乱した状況では、障害者がそれぞれのニーズに応じたケアを保障されることは考えにくいのが実情だ。
現に、阪神淡路大震災でも、その後に次々と起こった国内外の災害でも、障害者はあと回しか、放置されることが多かった。痛感するのは、いかに地域における日常の障害者ネットワークが、非常時の安否確認や救援活動で力を発揮するかということだ。
多くの支援のおかげで海外の障害者にまで救援金を届けることができるようになった。国境を越えて交流する中で、言葉や文化は違っても、人の心は同じだ、と実感する
災害は、避けられないもの。災害をきっかけに、内外の草の根障害者ネットワークが広がり、友好の絆が深まることを願うばかりである。
(ゆめ風十億円基金事務局〒533-0033大阪市東淀川区東中島1-21-2-1107
TEL:06-6324-7702)