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「JANNET NEWS LETTER」
(October 2001 第31号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<巻頭言>

手話、教育、運動支援の国際協力

財団法人 全日本ろうあ連盟理事長 安藤 豊喜

財団法人全日本ろうあ連盟のろう者に対する主な国際協力を具体的に列記すると、

  1. 世界ろう連盟〔WFD〕に理事を送り出し、国際レベルの関連会議で提言等を行っていること。
  2. 世界ろう連盟の下部組織と言える「アジア太平洋事務局」を担い、その運営と会議開催費用の一部負担を行っていること。
  3. 「アジアろう者友好基金」を設立し、ろう教育の振興に寄与していること。
  4. 国際協力事業団の委託を受け、アジアのろう者リーダー養成のための研修事業を行っていること。
  5. ボランティア貯金事業の助成により、1998年から3年間、タイ国の手話単語集発刊と手話普及の協力を行ったこと

などである。つまり、政府関連機関の助成や委託を受けての協力と、当連盟独自の企画と財源により、当事者であるろう者団体や個々のろう者に直接的な支援を行っていることに特長があると言える。全国のろう者と手話関係者が中心となって拠出している「アジアろう者友好基金」では、タイ、ネパール等へ校舎増築、奨学金支給、通学のためのバス購入支援等を行い、その結果として、世界ろう連盟評議員会やアジア太平洋事務局会議での賛辞や表彰を受けているが、このように、目に見える形での国際協力を当連盟が実施するきっかけになったのは、1991年に東京で開催した第11回世界ろう者会議にあると言える。52ヶ国から7000人が参加したこの会議で当連盟が確認したのは、ろう者福祉や社会参加を国際レベルで研究していくことと、手話言語を基本にしてあらゆる分野に自立的に参加していくことの重要性である。我が国における戦後のろう者運動は、健常者への依存を一時期容認せねばならなかった。しかし、ろう者集団の自立的な運動による意識変革や社会発展などの条件があって、「自立と人権」を基本とした運動へと発展してきた。このような経験が当連盟の国際協力のスタンスになっているのである。当事者であるろう者の自立的・主体的な組織作りに、民主的で効果的な運動を推進するリーダー育成。また、それぞれの国のろう者が使用する手話言語の確立と普及促進、自立的な社会参加の基本となるろう教育の推進とすべてのろう児に対する教育保障が各国の望んでいる支援内容であり、困難はあるが今後も拡大の方向で取組んで行きたいと考えている。