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「JANNET NEWS LETTER」
(October 2001 第31号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<図書紹介>

「障害とリハビリテーション大事典」

デル・オルト・マリネリ編、中野善達監訳
湘南出版社 定価38,000円
中西由起子訳 明石書店 1999年

 この大事典は、障害とリハビリテーションに関する最新の知見を158の項目に分類し、解説したものである。精選された158の項目は医学・医療、法律(リハビリテーション法、ADA、権利擁護、市民的権利など)、行政、経済、労働(職業)、家族、住宅、工学、技術、身体運動、教育、心理(カウンセリングなど)、生活、介護、福祉サービス、各種療法(OT、PT、レクリェーション、アート、ダンス、音楽など)、セクシュアリティーなどにわたり、それぞれの項目に詳しい解説と文献がついている。図表も用意されているので、基礎的な事項を学ぶのに便利である。解説に続いて情報源と文献が掲載されている。項目の内容を深く理解したい読者には好都合である。その場合、巻末の訳語参考リストは、文字通り参考になる。項目に関連する用語のリストもあり、関連事項の整理に訳に立つ。全体を通して読むと、米国のリハビリテーションのこれまでの歩み、現状、方向性を知ることができる。
ノーマライゼーションのという用語は日常生活の様々な場面で用いられているが、この用語の生まれた背景とその後の変遷は余り知られていない。また、ノーマライゼーションを究極の目標と考えている人が多いのではないだろうか。この大事典では、ノーマライゼーションに取って変わる新しい概念として社会的役割バロリゼーション(Social Role Valorization)が解説されている。「ノーマライゼーションと社会的役割バロリゼーションに改称した経緯が記載されている。リハビリテーション及び教育の関係者に呼んでもらいたい項目のひとつである。「障害」の項目も重要である。医学及びリハビリテーション、法律、社会の3つの観点から解説してある。

筑波大学心身障害学系・大学院教育研究科リハビリテーションコース助教授 中田英雄