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「JANNET NEWS LETTER」
(January 2002 第32号)
障害分野NGO連絡会(JANNET)発行

<トピック>

国連専門家パネル会議

全日本ろうあ連盟副理事長 高田英一

 9月4日から9月6日の3日間、「国連専門家パネル」会議がニューヨークの国連本部で開催された。
会議におけるリンクビスト(「障害者の機会均等に関する国連基準規則」特別報告者)報告に基づき「障害者の機会均等に関する国連基準規則」(以下「基準規則」)は改正、存続させ、それとは別に「障害者の権利条約」を人権委員会を通じ、時間をかけて国連総会での成立を図る方針が確認された。
「基準規則」の改正案は、障害者当事者の意見、つまり「障害者自決権」の尊重の精神によって審議された。カウピネン氏(世界ろう連盟理事長)や私からの提案によって、「手話を言語と認める」、「情報保障に技術的、法律的対応」など、より障害者サイドに立った「基準規則」の改正原案をまとめた。また、重複障害者を重視する規定も取り入れられた。
「ろう児がろう学校で学ぶことが適切」、「ろう学校などに障害者教員の配置」などの改正点はユネスコのインクルージョン方針と対立するかのような側面をもっており、これについてはユネスコが障害者に直接意見を求めなかったことに問題があるとして、今後ユネスコと協議していく方針を確認した。この改正原案は、さらに委員からの意見を求め最終的にリンクビスト氏が調整し、本年2月に開催予定の国連社会開発委員会に提案されることになっている。
なお、この会議に先立つ8月31日から9月2日までの3日間、第5回国際障害同盟(IDA、ドナルド・ウイリス会長)会議が、アメリカ・ニューヨーク市で開催された。主な議題は「障害者の権利条約」(仮称)の実現に関することで、フランスのフェルネイ・ヴォルテールで開かれた第4回会議で、条約実現に先立つ手だてとしてカナダのヨーク大学などの協力を得てアンケートによる実態調査を行うことの支持を決定した。このような障害者に関する調査を行いつつ、最終的に人権委員会を通じて国連総会で「障害者の権利条約」の成立に持ち込もうというのが戦略である。