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国連世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)

発展途上国におけるICTアクセシビリティの展望

ディペンドラ・マノシャ
DAISY for All(DFA)プロジェクト
アシスタントプロジェクトマネージャー
インドDFA地域リソースセンター所長

項目 内容
会議名 第1回G3ictグローバルフォーラム
発表年月 2007年3月26日

ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)やDAISYなどのICTアクセシビリティに関する標準規格はすべて、感覚障害者がデジタルコンテンツにアクセスするために、画面読み上げソフトのようなアクセス技術を使用しているという仮定に基づいて設定されている。多くのアクセス技術は、TTSエンジンやOCRソフトなどの基本的なテクノロジーツールに大きく依存しており、たとえば、画面読み上げソフトや活字文書読み上げ装置は、これらの技術の両方が無くては利用できない。同様に、手を使うことができない人々は、音声認識ソフト無しではPCにアクセスすることはできない。しかし、これら3つの技術はすべて、発展途上国のほとんどの言語では利用することができない。このため、たとえウルドゥ語にWCAGが適用されたとしても、ウルドゥ語を話す障害者にとっては、アクセシビリティは依然夢のままなのである。

また、このような技術とICTサービスにかかるコストは、ICTツールのアウトリーチにおけるもう一つの大きな課題である。発展途上国の生活費と所得は先進国の10分の1であるが、ITツールのコストは発展途上国よりも先進国の方が低くなっている。

更に、ICTアクセシビリティとアクセス技術に関して、現地で解決策を開発する際の、現実的なギャップの存在への認識不足もある。

DAISY for ALL (DFA)プロジェクトでは、発展途上国におけるDAISY標準規格の利点を紹介している。同プロジェクトは、アクセシブルなコンテンツを制作するための機器や研修を提供するだけでなく、デジタルコンテンツの制作及び再生に使用されるツールに、現地語を採用できるようにするソフトウェアの開発チームによって、バックアップされている。更に同プロジェクトでは、発展途上国に地域リソースセンターを設立し、地元のリソースパーソンの研修を行っている。これによってコストが低く抑えられ、地域に適した、非常に効果的な解決策が開発されてきた。同プロジェクトの下で開発されたソフトは、オープンソースで、どの言語にも容易に適用できる。また、同プロジェクトを通じて、ICTアクセシビリティの問題に関わる組織のネットワークが強化され、重要な開発課題に関する基本的な知識が広められている。たとえば、多くの組織は現地語による画面読み上げシステムの開発にリソースを費やしてきたが、DFAの介入により、SAPI準拠のスピーチエンジンが利用できれば、既存のオープンソースの画面読み上げソフトを、環境設定やカスタマイズをすることなく、どの言語にも適用できることが明らかになった。こうして、現在スリランカやパキスタンなどの国々では、システム全体の開発にリソースを費やすことよりも、TTSエンジンの 開発へと焦点が移ってきた。

DFAプロジェクトは、ICTアクセシビリティの実施と開発を進めるため、現地のリソースパーソンと人材のエンパワメントに焦点を絞っている。DAISYコンソーシアムについての更に詳しい情報は、www.daisy.org.で。また、DAISY for Allプロジェクトについて更に詳しく知りたい方は、www.daisy-for-all.orgへ。


リハビリテーション協会注:
G3ictはWSIS(世界情報社会サミット)の成果を受け、より広範な国連開発計画と結びつけてICT開発を行うことを目的として発足したGAID(世界情報技術開発同盟)と重要な協力関係にある。 G3ictは、国連障害者権利条約事務局及びUNITAR(国連訓練・調査研究所)と協力関係にあるW2i(インターネット・インスティチュート)の主導で活動を行っている。 G3ictは、2年間のプログラムで、すべての関係者による参加、対話を推進し、民間によるボランタリーな貢献によって支えられている。このプログラムにはICTメーカー、ICTの主要なユーザー、公的機関(国際機関・団体、政府)が参加している。ICTに関連する問題に関心のある民間、公的機関、非政府組織及び障害のある人たちの参加を歓迎している。

詳細は以下G3ictのサイト(英語)をご覧下さい。
http://www.g3ict.com/index.htm