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2014年9月1日

2015年以降の災害リスク軽減枠組のプロセスに対する障害のある人々の貢献を確保するための共同提言

提出先:
国際連合事務総長特別代表 防災担当
マルガレータ・ワルストロム様(Ms. Margareta Wahlström)

第3回国連防災世界会議政府間準備会合共同議長
在ジュネーブ国際連合本部およびその他の国際機関のフィンランド政府代表部常駐代表
パイヴィ・カイラモ様(Ms.Päivi Kairamo)

第3回国連防災世界会議政府間準備会合共同議長
在ジュネーブ国際連合本部およびその他の国際機関のタイ政府代表部常駐代表
タニ・トングファクディ様(Mr. Thani Thongphakdi)

第3回国連防災世界会議担当特命全権大使
菅沼健一様

同文送付先:
障害者権利委員会委員長
マリア・ソリダド・システルナス・レイズ様(Ms. María Soledad Cisternas Reyes)

皆様

何よりもまず、マルガレータ・ワルストロム様には、災害リスク軽減に障害を含める必要性に着目し、指導力を発揮して下さったことに、心から感謝申し上げます。

また、この件に関して、ワルストロム様の取り組みをこれまで支援して下さった、志を同じくする大勢の国際連合国際防災戦略事務局の皆様にも、お礼申し上げます。

ワルストロム様、ワルストロムのチームにおいては、災害リスク軽減に関する対話の中で、障害のある人々の権利とそれにかかわる問題の認知度を高めるために、多くのことを成し遂げて下さいました。障害とともに生きる人々と、彼らの災害への対処方法に関する画期的な国際調査をはじめ、2013年国際防災の日のテーマとして「障害とともに生きる人々と災害」に注目したことなど、最近のイニシアティブは、障害コミュニティに新たな希望の光をともすものでした。バンコクで6月に開催された、第6回アジア防災閣僚級会議からも明らかなように、現在では政策立案者の意識も高まっております。

パイヴィ・カイラモおよびタニ・トングファクディ様には、それぞれフィンランドとタイを代表して共同議長を務め、2015年以降の災害リスク軽減枠組に関する共同議長プレ・ゼロドラフトの中で、障害について数多く積極的に言及して下さったことに、特に感謝申し上げます。これは、「インクルーシブであること」に関して、「災害に強い国・コミュニティの構築:兵庫行動枠組2005-2015」と比較し、前進への明確な変化を示すものです。

さらに、第3回防災世界会議の開催国として、障害を含めるという大義を支持する日本の取り組みへの心からの感謝を、ここに記しておきます。このような姿勢は、アジア太平洋経済社会委員会の62の加盟国政府により、2013年5月1日に採択された決議69/13、世界初の、地域で合意に至った、障害インクルーシブな、評価を重視する一連の開発目標である、アジア太平洋障害者の「権利を実現する」インチョン戦略の目標7「障害インクルーシブな災害リスク軽減および災害対応を保障すること」に結実しました。2014年4月23日に日本の仙台において、「障害者も参加する防災アジア太平洋会議:知識を通じて固定観念を変えよう」で採択された、「アジア太平洋における、レジリエンス(回復力)に富む、 インクルーシブで公平な社会のための、 障害インクルーシブな災害リスク軽減を促進する仙台宣言」では、2015年以降の災害リスク軽減枠組に、障害の視点を明白かつ体系的に含めることを達成するために、一致団結して努力するという共同のコミットメントが強調されています。

第3回防災世界会議担当特命全権大使である菅沼健一氏、障害のインクルージョンに関するメッセージと、2015年以降の災害リスク軽減枠組の全準備過程に、障害のあるステークホルダーとパートナーを適切かつ明白に含める必要性を、国際連合国際防災戦略事務局に伝えるに当たり、氏が支持を表明して下さったことに、私たちは大いに勇気づけられています。

これらの前向きな動きにもかかわらず、障害インクルーシブな災害リスク軽減の開発が最も緊急の課題であると、すべての加盟国が同意することが、今なおいかに重要であるかを、私たちは認識しています。世界銀行と世界保健機関は、障害のある人々が世界に10億人いると推定しました。また、最近の日本のデータでは、2011年の東日本大震災のときに、障害のある人々は障害のない人々に比べて、少なくとも2倍、死亡率が高かったことが際立っています。

これらの2点はともに、2015年以降の災害リスク軽減枠組で、障害のある人々とそのパートナーを、他のグループに従属する存在ではなく、独自の「運営パートナー」を持つ「メジャーグループ(注)」として明確に認識する必要性を正当化するものです。

2013年12月20日に総会で採択された、国際連合総会決議68/211の主文第18パラグラフは、以下の通りです。

「この文脈において、メジャーグループ、議会、市民社会、国際赤十字・赤新月社運動、非政府機関などの、すべての関係ステークホルダーによる貢献と参加の重要性を認識し…」

私たちは、皆様、すなわち、国際連合事務総長特別代表防災担当、両共同議長および日本政府の皆様の積極的なご支援により、10億人の障害のある人々が1つの「メジャーグループ」を構成することに同意する良識が広まるものと信じています。これらの人々が十分に声をあげる機会を奪うことは、2015年以降の災害リスク軽減枠組が、「先見の明がある」あるいは21世紀にふさわしいと言えるという主張に、まさに深刻な疑問を投げかけるでしょう。

私たちは、2013年12月20日に総会で採択された国際連合総会決議68/211の主文第20パラグラフ(太字は筆者)に、勇気づけられています。

「地域社会のレジリエンス(回復力)を強化し、災害の影響を受けやすい社会的弱者を減らし、女性に加えて、子どもや高齢者、障害のある人々など、集団内の弱者による、第3回防災世界会議その準備過程へのインクルーシブな参加と貢献の必要性を認識するために、災害リスク管理においてジェンダーと障害の視点主流化することの重要性を強調する。」

さらに、私たちは、7月の第1回オープンエンド政府間準備会合での、女性ステークホルダーグループによる声明における障害への言及、特に障害者権利条約への言及を、高く評価します。

にもかかわらず、オープンエンド政府間準備会合、オープンエンド非公式協議および第3回防災世界会議をはじめとする、2015年以降の災害リスク軽減枠組に関する残りのプロセスにおいて、現在のステークホルダー代表の中に、障害のある人々の代表は含まれていません。このことが原因で生じている現実的な課題に関して、皆様に緊急の懸念をお伝え申し上げますことを、どうかお許し下さい。

障害のある人々の権利の主流化は、障害のある人々とその代表団体およびパートナーが、2015年以降の災害リスク軽減枠組のプロセスに関するあらゆる協議イベント、すなわち、第3回防災世界会議とそれに向けたイベントに、平等に代表を派遣し、明白にその存在を示さなければ、すべての部門およびステークホルダーグループでこれを達成することは不可能であると、私たちは考えています。

7月に開催された、第1回オープンエンド政府間準備会合で、私たちは「運営パートナー」のリストに障害のある人々の代表が含まれていないことに気づきました。前述の総会決議68/211の主文第18パラグラフと第20パラグラフに記載されている、指針となる原則を順守するために、障害のある人々を代表するステークホルダーを「運営パートナー」のリストに追加することを、私たちは強く要求します。これにより、残りの全プロセスにおいて「障害のある人々の視点」を促進し、定式化することができ、2015年以降の災害リスク軽減枠組への時宜を得た介入が可能となります。

さらに、リオ+20の成果文書第43項では、持続可能な開発政策の策定プロセスへの、他のステークホルダーグループの参加を取り上げ、「C. 主要グループ及び他のステークホルダーの関与」で、障害のある人々に明確に言及しています(太字は筆者)。

「43. 我々は、情報と司法、行政手順への広範囲な国民の参加及びアクセスが、持続可能な開発の推進に不可欠であることを強調する。持続可能な開発には、地域、国家、準国家の議会と司法、及びすべての主要グループ、すなわち女性、子供と青少年、先住民族、非政府組織、地方政府、労働者と労働組合、企業と産業、科学界と技術界、農業者、及び地域社会、ボランティア団体、財団法人、移住者、家族などのその他ステークホルダー、及び高齢者や障害を持つ人々、の意義のある関与と積極的な参加が必要である。この点に関し、我々は、主要グループやその他ステークホルダーとより緊密に協力することに合意するとともに、必要に応じ、すべてのレベルでの持続可能な開発のための政策と計画の意思決定、企画、実施に寄与するプロセスにおける彼らの積極的な参加を推奨する。」

障害者権利条約、特にその第11条の実施を支援するに当たり、国内外の市民社会ネットワークおよび機関である私たち4団体は、障害のある人々を含めた2015年以降の災害リスク軽減枠組に取り組むべく手を組みました。2015年以降の災害リスク軽減枠組を、真に人間性の増進を示すものとするために、このような明白なインクルージョンに向けて努力することは、道徳的義務だと私たちは考えています。

そこで、http://www.wcdrr.org/majorgroups/organizingpartnersに「障害のある人々」という新たな見出しを作り、その下に連絡先として以下の人々を追加することを、私たちは提案いたします。

国際障害同盟 ウラジミール・コック氏(Mr. Vladimir Cuk)

国際障害同盟 マリアン・ダイアモンド氏(Ms. Maryanne Diamond)

国際障害同盟 チャウレア・フルーリー氏(Ms. Tchaurea Fleury)

日本財団 石井靖乃氏

障害インクルーシブ防災ネットワーク 可児さえ氏

国際リハビリテーション協会 河村宏氏

国際リハビリテーション協会 マシュー・ロディエック氏(Mr. Matthew Rodieck)

これらの人々を、「障害のある人々の視点」を取り入れるための「運営パートナー」とすれば、その専門知識が利用可能となり、2015年以降の災害リスク軽減枠組の全プロセスにおいて、障害のある参加者のための合理的配慮を含む、アクセシビリティや障害のある人々の平等な参加をめぐる問題に関する専門家の助言として、役立てることができるでしょう。

私たちは、皆様のご支援を期待し、来る9月9日から始まります協議に私たちが参加できますよう、できるだけ早期の前向きなご返答をお待ちしております。何卒よろしくお願い申し上げます。

深甚なる謝意と敬意をこめて

障害インクルーシブな防災ネットワーク、国際障害同盟、日本財団および国際リハビリテーション協会を代表して

国際障害同盟会長
マリアン・ダイアモンド


(注)http://www.wcdrr.org/majorgroups/organizingpartners

英語原文:
Joint proposal to secure contributions of persons with disabilities to the post-2015 framework for disaster risk reduction process