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第3回国連防災世界会議およびそれ以降の会議に障害を含めることに関する声明

http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=15184&LangID=E

障害者権利委員会は、日本の仙台市で2015年3月14日から18日まで開催される第3回国連防災世界会議の準備過程を注意深く見守ってきた。

委員会はこの過程について、あらゆる形態の差別と排除の危険にさらされることが誰よりも多く、また、社会の主流から取り残されているあらゆる集団の中でも「最初に忘れられ、最後に思い出される」ことが多い障害のある人々の、すべての人権と基本的自由を促進し、保護する課題と機会を、ともに提示するものと考える。

締約国の報告の再検討を通じて、委員会は発足以来、障害者権利条約第11条に高い優先順位を与えてきた。第11条では、締約国に対し、自然災害、武力紛争およびその他の人道上の緊急事態に由来する危険のある状況における、障害のある人の保護および安全を確保することを義務付けている。この数年間、委員会はいくつかの関係機関と協力し、災害救助にかかわる措置を障害のある人々が確実に受けられるようにするための活動を進めており、特定の危機的状況に関する声明を発表してきた。

委員会は、障害のある人々が、支援とアシスタンスの受益者でなければならないということだけでなく、災害リスク軽減の取り組みの大いなる成功に向けて積極的に貢献できるということも考慮し、行動枠組改訂の実質的部分(ポスト兵庫行動枠組:HFA2)も含めたこの過程のアジェンダから障害の視点が除外されないことを確保する、すべての関係者、特に国際連合国際防災戦略事務局(UNISDR)によるあらゆるイニシアティブと真の取り組みを歓迎する。

アクセシビリティに関する一般的意見第2号において、委員会は、この問題に大いに注目していることを繰り返し述べた。一般的意見パラグラフ36には、以下のように記されている。「物理的環境、輸送機関、情報通信及び公衆に開かれているサービスへの完全なアクセスの確保は、まさに、条約で網羅されている多くの権利の効果的な享有に不可欠な前提条件である。危険な状況、自然災害及び武力紛争の際には、緊急サービスが障害のある人にとってアクセシブルなものでなければならず、さもなければ、障害のある人の命を救うことも、その健康を守ることもできない。アクセシビリティは、災害後の復興の取り組みにおける優先事項として盛り込まれなければならない。それゆえ、災害リスク軽減は、アクセシブルかつ障害インクルーシブでなければならない。」

委員会は、条約の提案、草案作成、交渉、採択、批准および実施の監視という過程が前例のない成功を収めた後でさえ、障害のある人々が主流の開発過程に参加する際に、今なお大きな困難と不必要な制約に直面していることを、多大な懸念を持って指摘する。

現在のミレニアム開発目標(MDGs)は、2015年に終了となる。それらの開発の成果は不明瞭で、貧困を示す数値は全体的に減少したものの、障害のある人々を含む最も貧しい集団の生活状況における持続可能な改善は、MDGsでは達成されなかった。2010年のMDGsサミットと、2012年の持続可能な開発会議(リオ+20)の勧告を受けて、一連の持続可能な開発目標と世界的なポスト2015年開発アジェンダを策定するインクルーシブなプロセスが開始された。これら2つのプロセスを密接に結び付け、最終的には1つの世界的な開発アジェンダに収束させるべきであるという点で、幅広い合意が得られている。これら2つのプロセスについては、国際連合とメジャーグループとの協議の場で伝えられた。メジャーグループの概念は、1992年の第1回リオ会議で生まれたもので、市民社会によるインプットを持続可能な開発過程に盛り込むというものである。しかし、そこには当初から障害のある人々の姿はなかった。

委員会は、災害リスク軽減のプロセスと内容を、すべての人々、特に障害のある人々にとって、真にアクセシブルでインクルーシブなものとするために、多くの改善を行う必要性を認識している。これは、人権と持続可能な開発に関するアジェンダの成功を評価する重要な指標となりうる。

委員会は、すべての締約国、国際連合、国際連合システム内のすべての機関および国際社会に対し、以下を要求する。

  1. 第3回国連防災世界会議と、これに関連のある2015年以降の持続可能な開発に関するあらゆる会議の全過程を、障害者権利条約とその他の国際的に認められているアクセシビリティ基準とガイドラインに従い、障害のある人々にとってアクセシブルにする義務の履行を確保すること
  2. 障害のある人々とその代表団体および関係者が、会議中も含めたあらゆる準備過程とすべての協議の全側面に、完全かつ効果的に参加する可能性を確保すること
  3. この世界会議の最終的な成果物に障害を含め、真に障害インクルーシブな災害リスク軽減へとつなげ、障害インクルーシブな、人権に基づく、持続可能な開発アジェンダのベストプラクティスのモデルとすることを確保すること
  4. 国際連合総会での決議を通じて、市民社会団体とのあらゆる協議への国際連合の参加について、障害のある人々の新たなメジャーグループを創設すること、または、すべてのメジャーグループの組織が、よりアクセシブルで透明性のある、すべての人の完全参加に向けて開かれたものとなるよう再考することにより、一層開かれた参加構造を再検討すること

2014年9月 ジュネーブにて

詳しくは下記を参照:
http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=15184&LangID=E#sthash.ZojvgvRI.hcCyoh8X.dpuf


訳者注:第7パラグラフの「1992年の第1回リオ会議」は、一般的には、「国連環境開発会議(地球サミット)」のこと。