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高齢者・障害のある人等への適切な配慮
-「特別な配慮が必要な人」について -

大川弥生 
元(独)国立長寿医療研究センター 生活機能賦活研究部 部長

*現在の連絡先:
E-mail yyy-okawa@biz.nifty.jp
<コピー・引用の場合はご連絡下さい>

 

 地震・水害等の災害時には「特別な配慮を必要とする人」 が非常にたくさんおられます。
 「配慮が必要な状態」とは、外見からわかる困難ばかりではありません。
 また困難があっても遠慮したり、あきらめていて、自分で声に出しにくい人も多いのです。
災害の時は、更にそうなりやすいと思って接していく必要があります。

1.「病気」と「生活機能」の両面からの配慮を

配慮は、健康状態(病気・ケガ)と「生活機能」(人が「生きる」ことを総合的に捉えたもの)の両面から必要になります。(表)
「健康状態」と「生活機能」の両面に配慮が必要な場合は多く、専門分野や領域毎でなく、総合的な配慮が必要です。

表
表(拡大図・テキストデータ)

2.予防の重視

災害前から配慮が必要であった(病気や障害があったり、介護を受けていたりした)人への配慮だけでなく、予防に向けた配慮が必要です。 災害をきっかけとした病気の発生や増悪、生活機能低下の発生、それによる要介護者の増加、障害の重度化を予防することが必要です。

3.防げたはずの生活機能低下

災害時の支援の新たな課題として注目されていることに、「防げたはずの生活機能低下(preventable disability)」の予防があります。
表1右側の「生活機能面について配慮が必要な状態」は日常生活上について、一般の方々も含めて配慮していただきたい点をまとめたものです。

4.本来の能力を発揮していただける配慮を

 ここで考えていただきたい大事なことがあります。このように配慮が必要な内容は、その方々の一つの側面にすぎないことです。
特に高齢者や障害のある方は、ともすれば「弱い人だ」と、弱い面にだけに目がいきがちであり、それを補ってあげようと考えがちです。しかし、それらの方々は実はそれぞれかなりの能力をお持ちなのです。
 その能力や知恵を一層発揮してもらえるように接し方を工夫していくという観点が必要です。

特別な配慮が必要な人について

「特別な配慮が必要な人」については、新潟県中越地震(2004年)以来の大震災の課題を踏まえ、今後の対策をまとめた、下記の報告書で詳しく述べられています。 「災害時要援護者」の他にも様々な配慮が必要な人がいることに注意が必要です。 なお、調査会名は地震防災となっていますが、これと異なる水害・土砂災害でも共通した考え方が有効だとされています。

中央防災会議地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会報告書(2012)
HP:http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/toshibu_jishin/report.pdf

中央防災会議地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会報告書(2012)(概要)
HP:http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/toshibu_jishin/summery.pdf